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演劇と解体が同時に行われる!前田文化×劇団子供鉅人「文化住宅解体公演」を観に行ってきました!

演劇と解体が同時に行われる!前田文化×劇団子供鉅人「文化住宅解体公演」を観に行ってきました!

「解体しながら演劇をする」。
前代未聞の解体演劇が大阪茨木市の前田文化住宅で行われました。

解体といえば夏に、「キラリ職人技」のコーナーで、解体工事の匠で活躍する愛知県の解体業者、沢和さんの解体技術を取材しました。

その時、沢和さんは「解体は人から怒られる仕事。
いい加減な仕事をするとお客さまの評判が悪くなる。
技だけでなく気配りをすることもプロの仕事。」という職人魂に触れたばかりでした。

なかなか注目されない解体工事が舞台となる今回。
何がどのように行われるかも、全く予想がつきませんよね。
どんなことが起きたか、さっそくお伝えします。

前田文化×劇団子供鉅人「文化住宅解体公演」とは?

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今回は前田文化住宅の代表、前田さんのおじいさんが建てたという「前田文化住宅」の一部の部屋を、「劇団子供鉅人」が演劇で解体をするという初の試み。

1年間かけて準備した超大作です。

ちなみに文化住宅とは、1950年~1960年代に近畿地方で建てられたアパートのことをいいます。
空室、老朽化、耐震の問題で文化住宅そのものを壊し、跡地を駐車場などに姿を変えているそうです。
前田文化では、文化住宅を残し、活用する試みを2014年から行っていて、建築は施工業者には頼まず、作る過程もワークショップ化するなどいろいろな取り組みをされています。
そのワークショプの内容は、廃材でプランターを作ったり、みんなで吹き抜けを作るような建築ワークショップから、お相撲さんに解体してもらうイベントなど様々です。

最近では子供が習い事をする場所になるなど、近所の交流の場として活用されています。

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今回は、関西で本当に面白い芝居を選ぶ「関西ベストアクト」二期連続1位で、海外公演も行う「劇団子供鉅人」による解体演劇です。

解体しながら演劇を行うという不思議な企画に、大阪の人気番組「ちちんぷいぷい」、NHK大阪さんのテレビカメラが入るほどの注目度です。
NHK大阪「おはよう関西」では10月26日に「文化住宅 リフォーム作業を“演劇”に」という内容で放送されました。

文化住宅 リフォーム作業を“演劇”に│NHK大阪(動画)

話題の劇団が解体現場でどんなお芝居を?解体はどうやって行うの?
どんなことが起きるのか、まったく想像がつかないまま現地に行ってみました。

謎の案内メールでテンションがあがる

公演1週間前に、事務局から案内メールがやってきました。
その内容は以下の通り。

  • (用意があるもの)ヘルメット、防塵マスク、軍手
  • 汚れても良い服やゴーグルなど自身で必要だと思うもの
  • 「こんなもので壊れるの?」というグッズ

持ち物はゴーグルなど汚れても良い服装、そしてユーモアセンスが問われるであろうグッズ。

解体取材目線で考えると、一般人が参加できるということは、手壊し中心で技術が不要な工程。
いろいろ考えた結果、小さい部分の解体で役立ちそうなので「靴べら」を持って参戦しました。
ピザカッターなども考えましたが、どれもユーモアは全くありませんね・・・。

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このメールを見ただけで、「めちゃくちゃ楽しそう!」という期待が膨らみました。

会場は本当に住宅街。超味のあるアパート

会場は、住宅街にある前田さんのお家の裏にあるアパート。

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ポップな看板が出ているので、すぐにわかりました。

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受付を済ませていただけたのはこちら。
当日の会場案内図と荷物預かり番号札と、子供鉅人さんの次回公演のチラシ。

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こちらが前田文化住宅。
階段がメッチャ急!
気をつけないとつまずきそうです。
味のある「引越」ステッカーがたまらないですね。

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屋上まであがっていくと、建具を再利用したテーブルがありました。

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その中にはヘルメットと軍手。
解体作業の本気度が感じられますね。

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屋上から1階を見下ろした写真。

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文化住宅解体公演がスタート

定刻の14時半となり、本日の「隊長」の子供鉅人の益山貴司さんが登場。
前田文化の前田さんからの挨拶などが行われ、本日の案内、諸注意などを聞きます。

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  • 渡された地図の色を1グループとして、各部屋でお芝居を鑑賞
  • 204号室だけは本物の住人さんに人生相談をするノンフィクション
  • 最後は庭にサプライズが登場するのでお楽しみに

いろいろわからない感じの案内が、いいですね(笑)
作業感を味わうべく、参加者全員で屋上でラジオ体操を行いました。

そして1グループずつ部屋へ移動します。私達のグループは101号室へ。

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扉もかなりレトロです。

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現れたのは、アルミホイルが垂れ下がった手作り感あふれるお部屋。
参加者が部屋をまわり、それぞれの部屋の住人の生活を見ていくという感じです。

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1つの芝居が終わると、役者さんが小道具を使って次の部屋を案内してくれます。

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この部屋は元建築現場出身のおじいちゃん(益山U☆G)とひきこもりの孫(山西竜矢)。

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大阪万博のコンパニオンになるために文化住宅に引っ越してきた女性(うらじぬの)と、霊媒師「エルファバ」(益山寛司)。
この部屋だけ1970年の設定です。

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貧しくも仲の良いカップル(影山徹ミネユキ)と鳩。
鳩は前田文化の鳩時計プロジェクトの小道具でした。

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博士(億なつき)とフランケン(古野陽大)。

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それを見張る秘密結社の工作員(キキ花香)。

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築50年以上の前田文化に住んでいそうな(いないような)、バックグラウンドの人たち。
それもそのはずで、元住人さんのエピソードを元にしたストーリーもあるのだそうです。

しかし、本物の住人さん(シニア)によるリアル人生相談だけは、ノンフィクション。
本物の住人さんなので内容は割愛しますが、非常にディープでした。

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お芝居の後は全員で解体作業

お芝居を各部屋で見た後は、解体作業に入ります。
解体する理由はお芝居の中ででてきたので、意味のある行動なのです。

作業の前にはヘルメット、防塵マスク、軍手、ゴーグルなどを身に着けます。
今度は3部屋にわかれて解体に参加します。

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各班のリーダーがくじ引きに参加し、武器をもらってきます。
しっかり壊せそうなハンマーから、役立たないおもちゃの刀まで様々。
私達の班は壊せる系の道具が2つ当選しました。

私たちは1階の部屋。
合図とともに、壁を壊しにかかります。

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ここでプロが登場。
安全に作業ができるようにサポートすべく、1部屋に1名、本物の大工さんが監視員としてついていました。

最初は順番に当選したハンマーで壁に穴を開けていきます。
私も初壁壊に挑戦し、その様子を参加者さんにお願いして撮ってもらいました。

大勢が壁をバンバン壊しまくるので、ものすごい風塵。
むこうがほとんど見えない状態です。

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両壁が壊される102の部屋で、孫が叫んでいます。

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ゴーグルやマスクがなかったら大変な状況。
それでも笑いと悲鳴があがる、本当に楽しい現場でした。

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仕上げは小さな力でも壊せるレベルになったので、蹴って壊したり、持参した役立たないグッズで壊したりもできました。

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解体の見せ場!天井が落ちてくる

ここでスゴイ解体の見せ場が起こるというアナウンスがありました。
なんと、と上の階の床をぶち抜くのだそうです。
「今か、今か」と天井が落ちる様子を待つ1階の参加者。

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天井がメリメリと音を立てだしました!
その瞬間は動画でご覧ください。

ものすごい歓声がわき、202号室のカップルの男性の方が命綱とともに降りてきました!

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初めて天井が抜ける様を見ました。
いやー、これは貴重ですよ。
これだけで来てよかったと思ったほどです。

サプライズでまさかの油圧ショベルが登場!

そのあとは庭に全員が出ます。
サプライズの、サプライズの油圧ショベルの登場です!

重機はキャタピラーのミニ油圧ショベル017CR

小回りがきくタイプで、大きな重機が入らない前田文化の解体にはピッタリの機械。
幅は990mmなので道幅の狭い場所でもそのまま入れます。

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そんな油圧ショベルを乗りこなすのは、102の住人の元・建築業のおじいちゃん。
演じる益山U☆Gさんは、油圧ショベル運転免許をお持ちですが、運転は講習会以来初とのこと。
油圧ショベルが動き、階段を壊し、続いては壁を壊しにかかります。

もちろん、現場に大工さんが控えているからできることですが、レアすぎる光景に釘付けです。

クライマックスを迎え、役者さん紹介を経て演劇は終了。

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解体後の前田文化はこのとおり。

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1階は全部ぶち抜かれました。
今後はどんなスペースになっていくんでしょう。

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たくさんの美味しいお料理と交流ができるアフターパーティー

その後はアフターパーティーを屋上で行いました。

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とても美味しいお料理が振る舞われ、お客さん、役者さん、前田文化スタッフの方と交流ができました。
その時に前田文化代表の前田さんと事務局の占部さんにお話を聞きました。

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建築過程を普通の人が見て、参加するとこんなにおもしろいのなんですね。

お話を伺うと、前田さんもお仕事は建築系なのだとか。
これは建築過程のおもしろさを熟知した前田さんだから、実現できたイベントなのかもしれないと思いました。
ちなみに広くなった1階の活用法は、まだ未定とのことです。

実際に担当大工さんにもお話を聞きましたが、天井がキレイに抜けるよう切れ込みを入れたり、プロの技で演出を下支えしていたそう。
3日間泊まり込みで作業して、翌日は全員で瓦礫の分別、撤去作業を行うと話していました。

行ってみた感想

解体と演劇の2つが合わさるという、貴重なものを見ることができました。
演劇も面白かったし、解体作業もすごく面白かったです。

建築現場をエンターテイメント化すると、普段接点のない人たちも建築過程や職人さんの仕事を知ることができます。

今回、参加者として解体作業をさせてもらえて、不思議と初めて訪れた前田文化住宅に愛着がわきました。
ただ家に関わる過程と人を知っただけですが、それがすごく家にとっては大事なんだと思います。

何回も言いすぎですがこの日がすごく楽しかったので、建物や家に対する価値観が変わってしまいそうでした。
解体演劇に再演はありませんが、もしあれば絶対参加します。


この記事を書いた人

北村美桂

北村美桂

男性週刊誌のライターを経て、ポータルサイトなど約7年WEBメディア運営に関わり独立。WEBを中心に活動するライター。歴史旅ブログ「カツイエ.com」の運営者でもあり、参加者全員が新聞紙カブトをかぶる歴史イベント「名古屋歴史ナイト」も3ヶ月に1回開催中。リビング書斎とパクチーがたくさん育てられる家庭菜園がある家が理想。

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