解体工事会社が不法投棄をしたら施主も罰せられますか?
ネット上で、「解体業者が不法投棄をしたら施主も罰せられる」という表記を見かけます。違法業者だと知っていて安いからといって依頼してしまうのではなく、自分の知らないところで不法投棄をされていて、自分も捕まってしまったら怖いのですが、そのようなことがあるのでしょうか。
基本的に施主が罰せられることはありません。廃棄物処理法の解釈では、解体工事会社や廃棄物処理業者が罰せられるのみです。ただし、施主が不法投棄を知りながら発注した場合には、なんらかの罰が下ることも考えられます。
施主が罰せられることはない
インターネット上には、「解体工事会社が不法投棄をすると施主も罰せられます。業界にはいい加減な業者が多いので、うちに任せて下さい」という解体工事会社や解体斡旋サービスの表記がまん延していますが、実際には施主が罰せられることはありません。
罰せられるのは解体工事会社や中間処理業者
実際に産業廃棄物の不法投棄があった場合には、解体工事会社や廃棄物処理業者が罰せられます。廃棄物処理法には下記のような表記があります。
(廃棄物処理法)
第五章 罰則
第二十五条 次の各号のいずれかに該当する者は、五年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 第七条第一項若しくは第六項、第十四条第一項若しくは第六項又は第十四条の四第一項若しくは第六項の規定に違反して、一般廃棄物又は産業廃棄物の収集若しくは運搬又は処分を業として行つた者
二 不正の手段により第七条第一項若しくは第六項、第十四条第一項若しくは第六項又は第十四条の四第一項若しくは第六項の許可(第七条第二項若しくは第七項、第十四条第二項若しくは第七項又は第十四条の四第二項若しくは第七項の許可の更新を含む。)を受けた者
三 第七条の二第一項、第十四条の二第一項又は第十四条の五第一項の規定に違反して、一般廃棄物又は産業廃棄物の収集若しくは運搬又は処分の事業を行つた者
四 不正の手段により第七条の二第一項、第十四条の二第一項又は第十四条の五第一項の変更の許可を受けた者
五 第七条の三、第十四条の三(第十四条の六において準用する場合を含む。)、第十九条の四第一項、第十九条の四の二第一項、第十九条の五第一項又は第十九条の六第一項の規定による命令に違反した者
六 第六条の二第六項、第十二条第五項又は第十二条の二第五項の規定に違反して、一般廃棄物又は産業廃棄物の処理を他人に委託した者
七 第七条の五、第十四条の三の三又は第十四条の七の規定に違反して、他人に一般廃棄物又は産業廃棄物の収集若しくは運搬又は処分を業として行わせた者
八 第八条第一項又は第十五条第一項の規定に違反して、一般廃棄物処理施設又は産業廃棄物処理施設を設置した者
九 不正の手段により第八条第一項又は第十五条第一項の許可を受けた者
十 第九条第一項又は第十五条の二の六第一項の規定に違反して、第八条第二項第四号から第七号までに掲げる事項又は第十五条第二項第四号から第七号までに掲げる事項を変更した者
十一 不正の手段により第九条第一項又は第十五条の二の六第一項の変更の許可を受けた者
十二 第十条第一項(第十五条の四の七第一項において読み替えて準用する場合を含む。)の規定に違反して、一般廃棄物又は産業廃棄物を輸出した者
十三 第十四条第十五項又は第十四条の四第十五項の規定に違反して、産業廃棄物の処理を受託した者
十四 第十六条の規定に違反して、廃棄物を捨てた者
十五 第十六条の二の規定に違反して、廃棄物を焼却した者
十六 第十六条の三の規定に違反して、指定有害廃棄物の保管、収集、運搬又は処分をした者
2 前項第十二号、第十四号及び第十五号の罪の未遂は、罰する。
罰則に関する規定は、第二十五条から第三十四条まで設けられていますが、いずれも罰則対象となるのは「排出事業者」、「廃棄物収集運搬業者」、「廃棄物処分業者」、「各事業社の代表者又は従業員」、「偽って許可を名乗った者」となっています。ここでいう排出事業者とは、産業廃棄物を発生させた本人(施主ではなく取り壊しを行った解体工事会社)ですので、あらためて施主が罰せられないことが分かります。
不法投棄と知りながら発注するのは厳禁
とはいっても、不法投棄と知りながら発注を行うのは厳禁です。明確な法律の規定はないものの、犯罪を指示したものとしての罰則が下されたり、発注者責任が問われることも考えられます。なによりご自身が犯罪に関わってしまうのは気分がいいものではありませんし、多くの方に迷惑を掛けることになりますので、くれぐれも注意が必要です。
注意深い業者選定と良識ある発注を
大切なのは注意深い業者選定と良識ある発注です。業者を選ぶ際には、「許可を持っているか」、「見積りに怪しいところはないか」、「悪い噂を聞かないか」といった点に気を配り、選定を行うことが大切です。また、発注時には、「杭を地中に残してコストダウンをしよう」、「建材にアスベストが含まれている可能性があるけれども無視しよう」といったモラルを欠いた行動をせず、法律違反を犯さないような良識ある対応が必要です。
都道府県別に解体工事会社と解体費用相場を見る
-
北海道・東北
-
関東
-
甲信越・北陸
-
東海
-
関西
-
中国
-
四国
-
九州・沖縄