隣家の外壁がない場合、補修費用も負担する必要がありますか?
隣の家が私の建物にくっついて建っています。両親の話だと、隣が後から建てたとのことですが、詳細は定かではありません。
私の建物を解体してしまうと、隣家の外壁がなくなってしまうようですが、その場合は外壁の補修費用はこちら側で負担する必要がありますか?
解体をするお客様負担で、外壁を修理する必要がある可能性があります。
他の人の家だからといって、放置してよいものではない
ブロック塀などを隣地の方と共有することは多々見受けられますが、今回は外壁が論点になっている珍しいケースです。
一見すると、「そもそもお隣の方が外壁を作っていないのだから、こちらが解体をしてもお隣さんの負担で補修工事をするべきである。」と考えてしまいがちですが、建物の状況によって様々な見解ができます。
建物が2棟に分かれており、外壁が敷地内にあった場合
隣家の方が勝手に(もしくは質問者様のご先祖の同意を得て)質問者様の建物の外壁を利用しただけであれば、外壁を補修する義務は生じない可能性が高いです。
しかしこの場合は補修費用のみならず、隣家が越境した敷地の所有権について、隣人から主張される可能性があります。
(所有権の取得時効)
第百六十二条 二十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得する。
2 十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その占有の開始の時に、善意であり、かつ、過失がなかったときは、その所有権を取得する。
建物が2棟に分かれており、外壁が境界線上にあった場合
建物が2棟に分かれているものの外壁が敷地境界線上にあった場合、構造的には質問者様側の外壁であったとしても、法律的に共有物としてみなされる場合があります。
民法 第二款 相隣関係 には、次のような表記があります。
(境界標等の共有の推定)
第二百二十九条 境界線上に設けた境界標、囲障、障壁、溝及び堀は、相隣者の共有に属するものと推定する。
共有物を質問者様側の都合で解体すれば、質問者様に同等の機能を持つ外壁を補修する義務が発生します。
建物が1棟だった場合
質問者様の建物が隣家と棟続きで、長屋のように1棟としてみなすことが出来る建物であった場合、区分所有法(建物の区分所有等に関する法律)が適用されます。
条文には下記のようにあります。
第十七条 共用部分の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議で決する。ただし、この区分所有者の定数は、規約でその過半数まで減ずることができる。
2 前項の場合において、共用部分の変更が専有部分の使用に特別の影響を及ぼすべきときは、その専有部分の所有者の承諾を得なければならない。
この場合、補修云々の前に、そもそも解体する時点で隣地の方の承諾を得る必要が発生してしまいます。当然、補修の義務も付随します。
まずは専門家に相談を
民民の話の場合、複雑な事態を招くことがありますので、トラブルになりそうであれば専門家の意見を求めることをお勧めします。
弁護士のポータルサイト「弁護士ドットコム」であれば、無料で弁護士に簡単な相談が出来るので、利用していただいても良いかもしれません。
都道府県別に解体工事会社と解体費用相場を見る
-
北海道・東北
-
関東
-
甲信越・北陸
-
東海
-
関西
-
中国
-
四国
-
九州・沖縄