解体工事を分離発注する時の注意点はありますか?
自宅の建て替えをするにあたり、ハウスメーカーが紹介する解体業者に依頼するとマージンが上乗せされていると聞いたので、費用を抑えるために解体工事を分離発注しようと考えています。自分で探した解体業者に直接依頼する場合の注意点があれば教えて下さい。
3つのポイントをお伝えします
①解体工事会社の入念な調査
分離発注の前提として、しっかりとした調査の元、信頼のおける業者に依頼をすることが大切です。下記のような項目を調べていただくとよいでしょう。

許可の保有
解体工事を合法的に行っているかを確認しましょう。
解体工事には、建設業許可(解体工事業、土木工事業、建築工事業、とび・土工工事業のいずれか)または解体工事業登録が必要です。解体工事業登録の場合、都道府県ごとの登録が必要で、税込500万円未満の工事に限定されるため注意が必要です。
過去の違反履歴の有無
過去に不法投棄などの違反歴がないか確認しましょう。都道府県や市町村の役所に問い合わせ、行政処分や公共工事の指名停止処分の有無を確認するのが有効です。
自社施工
解体工事会社が自社で重機を保有し、直接工事を行っているか確認しましょう。一部の業者は下請けに工事を委託している場合がありますが、その場合は分離発注のコスト削減効果が薄れるだけでなく、トラブルのリスクも高まります。自社施工の業者であるかを見極めることが大切です。
マニフェストの発行
解体工事で発生する廃棄物の処理を証明する「マニフェスト」の発行が適切に行われるかを確認しましょう。解体工事会社には、マニフェストの発行と5年間の保管義務があります。信頼できる業者であれば、施主にもマニフェストのコピーを渡してくれるため、事前に確認することが推奨されます。
保険の加入
事故やトラブルに備えた保険に加入しているかを確認しましょう。万が一の事故に対する補償がしっかりしていないと、近隣住民とのトラブルに発展するリスクがあります。特に対人・対物の第三者賠償責任保険に加入しているかをチェックしましょう。
暴力団との関与
解体業者が暴力団と関与していないかも確認が必要です。インターネットで「会社名 暴力団」などのキーワードで検索することで、ある程度の情報は得られます。すべてを把握するのは難しいですが、リスクを少しでも減らすために行うべきチェック項目です。
②契約書の明記
解体工事会社とのトラブルを防ぐために、必要な情報が記された契約書を交わすことが重要です。契約書に下記の内容が盛り込まれているかを確認し署名して下さい。

工事内容
解体工事の範囲や対象物を明確にするため、契約書に具体的な内容を記載します。ただし、契約書だけでは詳細を記載しきれないことが多いため、見積書や工事範囲を示す図面を添付し、内容を補足しておくのが望ましいです。
請負代金の額
解体工事にかかる費用を正確に記載します。税込み金額を明記することが重要で、特に「解体工事業登録」のみを持つ業者の場合、税込500万円未満の工事までしか請け負えないため注意が必要です。
工事着手の時期及び工事完成の時期
工事の開始時期と完了時期を明確に記載します。天候や予期せぬトラブルで工期が延びる可能性もあるため、新築工事のスケジュールと余裕をもって設定するのが安全です。
支払い方法
工事代金の支払い方法や支払時期について取り決めます。一括払いか分割払いかを選択できますが、着工前に半額以上の支払いを求められる場合、業者の資金繰りが不安定である可能性も考えられるため、注意が必要です。
工事内容・時期の変更方法に関する定め
工事内容やスケジュールに変更が生じた場合の手続きを事前に取り決めておきます。変更が生じた際には、追加見積書を発行し、改めて契約書を交わすことでトラブルを未然に防止できます。
契約解除の条件
契約を解除する場合の条件を定めます。例えば、施主側からのキャンセル時に違約金が発生するかどうか、また、どのような状況で解体工事会社が契約不履行と見なされるのかなどを明確にしておく必要があります。
工事遅延等による違約金、損害金の定め
工事の遅延が発生した場合に、解体工事会社が違約金や損害賠償金を支払うかどうかを取り決めます。これにより、業者側の納期遵守の意識を高める効果があります。
紛争の解決方法
万が一トラブルや紛争が発生した場合の解決方法を取り決めます。多くの場合、まずは双方の話し合いで解決を目指しますが、合意に至らない場合の次のステップ(調停や裁判など)についても記載しておくと安心です。
③三者での立ち会い
依頼業者が決まった時点で、施主・解体工事会社・ハウスメーカーの三者で立ち会いを行うことも重要です。三者での立ち会いは、工事内容の食い違いによるトラブルの抑制につながります。下記のような内容を話していただくとよいでしょう。

連絡先交換
工事に関わるすべての関係者同士で連絡先を交換しておきましょう。分離発注の場合、施主自身が工期の管理を行う責任がありますが、緊急時やトラブル発生時には、関係者が直接連絡を取り合えると、迅速に問題解決ができる場合があります。
工事範囲
解体工事の具体的な範囲を事前に明確にしておくことが重要です。例えば、「ブロック塀の撤去範囲」「庭石の処分」「配管のカット位置」などの細かい内容を決めておかないと、新築工事に影響を及ぼす可能性があります。事前のすり合わせが必要です。
解体後の仕上げ方
解体後の土地の仕上げ方法についても、事前に確認しておきましょう。「土のすき取り」「整地の程度」などは、地域や土地の状態によって異なる場合があります。新築工事がスムーズに始められるよう、しっかりと話し合っておくと安心です。
工事時期
着工日と完工日について明確にしておくことが大切です。解体工事会社には、新築工事の予定時期を伝えておくことで、スケジュールを調整しながら作業を進めてもらいやすくなります。余裕をもった日程設定が理想的です。
まとめ
分離発注は、ハウスメーカーのマージンを削減し、解体工事費用を抑えられる有効な手段です。しかし、信頼できる解体業者の選定や契約内容の確認、三者での立ち会いなど、事前に十分な準備と確認が必要です。これらのポイントを押さえることで、トラブルを回避しながらスムーズに解体工事を進めることができます。安心して建て替え工事を進めるためにも、慎重に準備を進めましょう。
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