【画像で確認】アスベストが入っている建物の年代は?
アスベスト(石綿)という言葉を聞いたことはありますか?
アスベストは、耐火性、断熱性、防音性、絶縁性など多様な機能を有していることから、多くの建物に使われていました。
しかし、アスベストを吸い込むと重大な健康被害を起こし、肺の線維化やがんの一種である肺がん、悪性中皮腫などの病気を引き起こす可能性があります。そのため現在では使用が禁止されています。
「アスベストが使われている建物に住んでいた。だからがんになる」というわけではなく、アスベストが使われている建物を解体すると粒子が飛びちり、その粒子を吸い込むと健康被害が起きます。
そのためアスベストが使われている建物を解体するときは、厳重な対応が必要です。
この記事では戸建て住宅を例に代表的なものを画像で説明しますので、ご自身の建物が対象になるかどうか参考になれば幸いです。
1,アスベスト(石綿)とは?
アスベストとは、天然で産出される鉱物であり、石綿(いしわた又はせきめん)とも呼ばれます。
現在の日本では、アスベストの製造・使用等が禁止されています。しかし昔はアスベストを使って建築されていたため、今もなおアスベストが含まれた建築物が多く残存しています。
アスベストについての詳しい説明は、厚生労働省のホームページをご覧ください。
また、アスベストは、レベル1,レベル2、レベル3と分かれており、発じん性によってレベルによって分類されます。※発じん性:紛じんの発生のしやすさ。飛散性とも言う。
レベル1がもっとも発じん性が著しく高く、レベル3が比較的低いです。
詳しい内容については、こちらで説明していますので、気になる方はご覧ください。
2、築年数だけでアスベストの有無が分かる?
アスベストは段階的に禁止されていきました。
1975年(昭和50年):石綿含有率が重量の5%を超える場合、吹付け作業が禁止
※5%未満であれば、許容されていました
1995年(平成7年):石綿含有率が重量の1%を超える場合、吹付け作業が禁止
またアモサイト(茶石綿)、クロシドライト(青石綿)の製造、輸入、譲渡、提供、使用が全面禁止
※アスベスト1%未満の取り扱いや日本において最も使用率が高かったクリソタイル(白石綿)に仕様は認められていました。
2006年:アスベスト含有率が0.1%を超えるものの製造、輸入、譲渡、提供、使用が全面禁止されました。
改正当初は猶予措置がとられていましたが、2012年に猶予期間が終了しました。
2006年にアスベスト製品は全面禁止されたため、2006年以前に建てた建物は、注意が必要です。
次に一般的な戸建て住宅を例にアスベストが入っている可能性が高い場所をご紹介していきます。
2、アスベストが入っている可能性がある場所は?
アスベストは一体、何処に含まれているのでしょうか。
戸建て住宅を例に代表的なものを図解で説明します。
※あくまで画像は例のため、アスベストの有無を確認するには、解体工事会社もしくはアスベスト調査会社に依頼をするようお願いします。詳しくは、3章で説明します。
①窯業系サイディング
窯業系サイディングとは、セメントと繊維質を混合して板状に成形した外壁材です。
その中にアスベストが利用されていました。
②配管保温材
配管のエルボ部分に使用される保温材としてアスベストが利用されていました。
※エルボとは、パイプとパイプを90度に接続し、液体や空気を流動させるもの
③住宅化粧スレート
住宅化粧スレートとは、セメントを材料として作る板状の屋根材です。
セメントの中にアスベストを含ませて、補強材として利用していました。
④外壁等仕上塗材
ブロック塀や家の内装外に使われていることが多く、立体的な凹凸があり、通常の塗料に比べて厚く、ひび割れなどを防止するためにアスベストが使用されていました。
⑤和室の砂壁
和室のざらざらとした砂壁(石材・鉱物・ガラス・貝殻などを粉砕した色砂と糊液を練り合わせたものを塗って仕上げた壁)に吸音や耐火を目的としてアスベストが使われていました。
参考:TOTOリモデルサービス
⑥ビニル床タイル
ビニル床タイルとは、塩化ビニル樹脂を原料にして、充填材などを配合して成形した正方形の製品です。洗面所や台所などの水回りに多く使用されており、耐水性・耐久性を保つため、アスベストが使用されていました。
⑦フロアシート
フロアシートとは、塩化ビニル樹脂を主原料にして、充てん剤などを配合して成形したシートです。洗面所や台所などの水回りに多く使用されており、耐水性・耐久性を保つため、アスベストが使用されていました。
⑧ガスケット・パッキン
ガスケットとは、静止している配管や機械の間に挟んで液体や気体が漏れないようにするシール材です。またパッキンは、動いているバルブやポンプなどの間に挟んで液体や気体が漏れないようにするシール材です。ここにもアスベストが使われていました。
⑨石膏ボード
石膏ボードとは、「石膏」を芯材に、両面と側面をボード用原紙で包んだ板状の建築資材です。石膏の中にアスベストを混ぜて作られていました。耐熱性や耐火性に優れていたため、天井に多く使われていました。
⑩けい酸カルシウム版
けい酸カルシウム版とは、水酸化カルシウムと砂を使って成型した板材のことです。天井や軒天に多く使用されていました。
また工場や小屋の屋根に波型の板状のものを目にしたことはありませんか?
軽量で強度があがることから、ここにもアスベストを含んで使用されていました。
4、アスベストの調査依頼、撤去は誰に依頼するの?
建物を解体する時、解体業者に依頼すると思います。
またリフォームなどをするときは、工務店やリフォーム会社に依頼すると思います。
その際に設計図書などの書面による調査及び現地での目視による調査を行い、アスベストの事前調査をします。
事前調査をする人は建築物石綿含有建材調査者講習の修了者が行うことが義務付けられています。
依頼した会社に建築物石綿含有建材調査者講習の修了者が居た場合、その会社がアスベストの事前調査をしますが、万が一、依頼した会社内に建築物石綿含有建材調査者講習の修了者が居なかった場合は、解体業者や工務店が連携しているアスベスト会社に依頼することになります。
また事前調査において石綿の含有の有無が不明の場合は、分析調査を行います。
分析調査とは、アスベスト含有が疑われる建材を、3cm角程度でナイフやのこぎりなどで切り出し、ビニール袋等に梱包します。
梱包したものを分析調査機関に送付し、アスベストの有無を検査します。検査後、分析機関から調査結果の記載された文書が届きます。分析調査には、1か所辺り3万~5万ほどの費用がかかります。
そのため自分の家は「何か所、検査が必要なのか?」「合計いくら費用がかかるのか?」工事会社に金額感を確認しましょう。
また、もしアスベストが含まれていた場合、アスベストの撤去費用が加算されます。
分析調査の結果次第で料金が異なるため、アスベストの有無が確認出来たら、再度工事会社に見積を出してもらいましょう。
※例外として、石綿が含有されているものとみなして、法令に基づく石綿飛散防止措置等を講ずる場合は、分析による調査を実施しなくても良いです。
※万が一、アスベストが含まれている建物を隔離等をせずに石綿の除去作業を行った場合は、直接罰が適用されます。
5、アスベストが入っていた場合、費用相場はいくら?
アスベストの除去費用に掛かる費用は
・部屋の形状による施工の仕方
・処理面積(アスベストが入っている面積)
・レベル(レベル1~3まであります)
によって費用が異なります。
少し古いデータとなりますが、国土交通省が2007年1月から2007年12月における施工実績データに基づいた相場を公開しています。
アスベスト処理面積 | 除去費用 |
300m2以下 | 2.0万円/m2 ~ 8.5万円/m2 |
300m2~1,000m2 | 1.5万円/m2 ~ 4.5万円/m2 |
1,000m2以上 | 1.0万円/m2 ~ 3.0万円/m2 |
参考:国土交通省Q40
※価格には事前調査や仮設工事、廃棄物処理など除去工事費用の全てを含む
5、アスベストの撤去に使える補助金はある?
補助金は、国ではなく自治体ごとに出ています。
自治体によって補助金が出ているケース・出てないケースがあり、自治体によって条件が異なります。市役所に電話したり、「○○市 アスベスト 補助金」と調べると自治体のホームページが出てきますので、条件を確認しましょう。
補助金では、アスベスト分析調査の補助金とアスベスト除去にかかる費用の補助金の2つがあります。例えば、次のようなものです。
・吹付けアスベスト等分析調査補助金制度(大阪府東大阪市)
大阪府東大阪市では、アスベストの分析調査に対して補助金が交付されます。
この制度では、アスベストの含有の有無や含有量を調べる際の費用として、最大25万円が助成さます。
・吹付けアスベスト除去等助成事業(京都府京都市)
京都府京都市では、アスベスト除去費用の助成として、除去費用の3分の2(上限100万円)が交付されます。
5、まとめ
現在の法律では、アスベストの有無について工事前に調査を必ず確認する必要があります。
そこで、アスベストが建材に使われているかはそこで明らかになります。
ご自身でアスベストの有無を確認するのではなく、資格を持った者に検査を依頼しましょう。
またアスベストが含まれていた場合、金額が高くなります。
解体の見積時には上記のような点を踏まえて、予算などの計画に影響が出ることを防ぐために
早めに見積もりを取っておくことをお勧めいたします。
都道府県別に解体工事会社と解体費用相場を見る
-
北海道・東北
-
関東
-
甲信越・北陸
-
東海
-
関西
-
中国
-
四国
-
九州・沖縄