解体工事前の電気引込線撤去ガイド|費用や手続き、注意点を解説
「解体工事の際に電気はどうすればいい?」「電気引込線の撤去には費用がかかるの?」と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。
解体工事では、電気の撤去が必要ですが、具体的な手続きや費用の目安、工事期間中の電気代の扱いなど、分からないことも多いですよね。
本記事では、電気引込線の撤去にかかる費用や手続きの流れ、解体工事に伴う電気トラブルの事例を詳しく解説します。さらに、水道やガスなど、その他ライフラインの手続きについても紹介します。
これから解体工事を検討されている方は、参考になれば幸いです。
目次
- 解体工事前に電気を撤去しないとどうなる?事故やトラブルのリスクとは
- 解体工事前に電気を停止する手順
- 各電力会社への連絡方法
- 電気を停止する際のポイント
- 解体工事中の電気はどうなる?
- 電気以外のライフラインの停止手続きも必要
- まとめ
解体工事前に電気を撤去しないとどうなる?事故やトラブルのリスクとは
解体工事を行う際、電気の引込線やメーターが残ったままの状態ではさまざまなリスクが発生します。電気を適切に撤去せずに解体作業を進めると、思わぬ事故やトラブルを引き起こす可能性があるため、事前にしっかりと対策を講じることが重要です。

電気撤去を怠ることで起こり得る5つのリスク
- 感電事故の危険
電気が通ったままだと、作業員が誤って電線に触れ、感電するリスクがあります。特に、電線やメーターが撤去されていない状態で作業を進めると、大きな事故につながる可能性があります。実際に、活線状態の電線を切断してしまい、作業員が感電死するという事故も発生しています。
- 火災発生のリスク
解体作業中に電気配線が損傷し、ショートを起こすと火災につながる可能性があります。特に木造建物の場合、一度火がつくと燃え広がりやすく、大きな被害につながる危険性もあります。
- 追加費用が発生する可能性
工事の途中で電気が残っていることが発覚すると、作業を一時中断し、電力会社に撤去を依頼しなければなりません。そのため、工事の進行が遅れるだけでなく、余計な手間や追加費用が発生する可能性があります。
- 電力会社の撤去作業の遅延
電気の撤去には電力会社の手続きが必要で、申請から完了までに1週間〜1ヶ月程度かかることもあります。解体直前に撤去を依頼すると、間に合わず工事が遅れる原因になってしまうため、余裕を持ったスケジュールで手続きを進めることが大切です。
- 解体業者が工事を断る可能性
解体業者によっては、安全管理の観点から「電気が通っている状態では工事を行えない」と判断し、作業を断るケースもあります。事前に電気の撤去を済ませておかないと、解体スケジュールが大幅に遅れることになりかねません。

解体工事前に電気を停止する手順
解体工事において電気の撤去は重要な手続きの一つです。電気は解体工事の安全性に直結するため、依頼主が責任を持って手続きを行う必要があります。ここでは、電気の撤去手順について詳しく解説します。
1. 電力の使用停止手続き
解体工事を行う際には、まず最初に電力会社に電気の使用停止を申し込む必要があります。事故を防ぐため、解体工事中に電気が通っていない状態にしておくことが重要です。解体工事の前に電気を停止することで、感電などの事故を防ぐことができます。
電気の停止手続きは、契約している小売電気事業者に解約の申し込みを行いましょう。通常、解体工事が始まる1~2週間前までには手続きを済ませておくことが推奨されます。
電力会社に電気撤去を依頼する際は、「解体工事に伴う電気撤去」と伝えることが重要です。
「電気停止」とだけ伝えると、通常は電力の停止のみが行われ、配線や電気設備の撤去までは対応してもらえません。解体工事では、配線や電気設備を撤去する必要があるため、その旨をしっかり伝えておく必要があります。
2. 電気メーター・電気設備の撤去
解体工事を安全に進めるためには、引込線や電気メーター、電気設備の撤去が必要です。電力会社に依頼すると、引込線や電気メーター、アンペアブレーカーなどの設備を無料で撤去してもらえます。解体工事を安全に行うためには、これらの手続きを早めに済ませておくことが大切です。
各電力会社への連絡方法
解体工事に伴う電気の停止手続きは、契約している電力会社に連絡して行います。以下に、代表的な電力会社の手続きリンクを記載しています。各社の手続き方法や注意点を確認し、早めに連絡を入れましょう。
東北電力
ご契約の廃止にともない建物を解体(引込線・メーターの取外し)する場合は、こちらからお申込みください。
なお、メーターや引込線等を取り外す作業は無料になります。
※「お客さま番号」を事前にご確認いただきますとお申込みがスムーズになります。
引用:東北電力 よくある質問 家屋を解体するので、電気をとめてほしい(電線を撤去してほしい)。
東京電力
一般住宅への電柱からの引込線の撤去については遅くとも撤去ご希望日の1週間前までにお申込みをお願いいたします。場合によっては撤去工事の準備に6ヶ月以上を要する事例もありますので、建物の解体計画がございましたら、期間をご考慮の上、お早めにお申込みをお願いいたします。
引用:東京電力 建物解体に伴う引込線等撤去のお手続き
関西電力
建物を解体される場合、電気の引込線および電力量計を撤去する必要がございます。
解体日までに電気の引込線および電力量計を撤去致しますので、解体日の2週間前までに、関西電力送配電へご連絡をお願い致します。
現場状況や各種法令手続きにより、撤去工事に長期間要する場合がございます。
引用:関西電力 建物の解体を予定されているお客さまへ
中部電力
まずは、ご契約をされている小売電気事業者さまへ解約のお申込みをお願いいたします。
(注)当社は送配電事業者のため、電気のご契約に関する受付はいたしかねます。電気料金請求書類などをご確認のうえ、ご契約の小売電気事業者へご連絡をお願いいたします。
既に電気のご契約を解約されている場合は、当社にて当社引込線やメーター撤去の手配をいたしますので、チャットの「オペレーターへ相談(チャット)」からご連絡をお願いいたします。
引用:中部電力 建物を解体するため、建物への引込線やメーターを撤去したいが、どうしたらいいのですか?
電力会社ごとに問い合わせ先が異なるため、事前に確認しておきましょう。インターネットで調べる際は、「○○電力 解体 電気撤去」などのキーワードで検索すると、解体時の電気撤去方法が見つかります。
電気を停止する際のポイント

電気を停止する際には、いくつか注意すべきポイントがあります。スムーズに手続きを進め、解体工事に支障が出ないようにしましょう。
1. スケジュールに余裕をもって手続きしよう
電力会社によって対応期間は異なりますが、一般的に撤去依頼から作業完了まで1週間ほどかかります。
繁忙期や対応が遅い場合は2週間以上かかることもあるため、早めの手続きが必要です。
また、電気の撤去には立ち合いが必要になることがあり、スケジュール調整ができないとさらに時間がかかる可能性があります。
解体工事が始まるまでに電気が撤去できていないと、工事が進められなくなるため、工事日が決まったらすぐに電力会社へ連絡しましょう。
ただし、解体直前まで自宅で生活する場合、電気を早く撤去しすぎると生活に支障が出てしまいます。
引っ越しスケジュールを考慮しながら、解体工事前に撤去できるよう計画的に進めることが大切です。
2. 連絡時には「解体工事に伴う電気撤去」と伝えよう
電力会社に撤去を依頼する際は、「解体工事に伴う電気撤去」であることを明確に伝えましょう。
「電気の停止」と伝えただけでは、単に電気の供給を止めるだけの対応となる可能性があります。
しかし、解体工事では電線や電気メーター、アンペアブレーカーなどの設備も撤去しておく必要があります。
そのため、解体工事日と、撤去する範囲を正確に伝えることが重要です。
3. 電力会社に伝える内容を事前に準備しよう
スムーズに手続きを進めるため、以下の情報を事前に準備しておきましょう。
- 解体工事日
- 契約者の氏名
- 連絡者の氏名
- 連絡先
- 住所
- お客様番号(契約番号)または電気メーター番号
特に「お客様番号」は、電力会社に問い合わせる際に必要となることが多いため、事前に確認しておきましょう。
請求書や検針票に記載されているので、すぐに取り出せるようにしておくとスムーズです。
解体工事中の電気はどうなる?
解体工事では重機や機材の使用に電気が必要ですが、解体前に電気を停止・撤去している場合、どのように電気を確保しているのでしょうか?
また、電気を使用する場合の電気代は誰が負担するのかも気になる点です。事前に把握しておかないと思わぬ出費につながる可能性があるため、注意が必要です。
業者が仮設電気を設置するのが一般的
解体工事中に電気が必要な場合、通常は業者が仮設電気を設置して使用します。
解体工事前に電気は停止され、電気設備も撤去されているため、もともとの電気を使うことはできません。そのため、解体業者が仮設電気用の機材を持ち込み、必要な電力を確保するのが一般的です。
電気代は誰が負担する?
解体工事で使用する電気の料金については、明確な決まりがなく、契約内容によって異なります。
一般的には工事費に電気代が含まれており、依頼主が負担するケースが多いです。ただし、業者によっては電気代を業者側で負担することもあるため、契約時に確認しておくとよいでしょう。
また、契約後に追加で電気代を請求されるケースもあるため、見積もり時点で明確にしておくことが重要です。念のため、電気使用量の明細や請求書を確認し、適正な料金が請求されているかチェックするのも良い方法です。

電気以外のライフラインの停止手続きも必要
解体工事を行う際は、電気だけでなく、他のライフラインについても適切な手続きを進める必要があります。ライフラインとは、生活に不可欠なインフラのことで、以下のようなものが該当します。
- ガス
- インターネット
- 電話
- CATV
- 浄化槽
基本的に、水道を除くすべてのライフラインは解体前に撤去が必要です。ここでは、それぞれの手続きについて簡単に説明します。
ガス
ガスの供給が続いていると、工事中にガス管が損傷し、引火などの重大事故につながる危険性があります。そのため、解体前にガスの停止・撤去手続きを行いましょう。
プロパンガス、集中ガス、都市ガスのいずれも、ガス会社に「解体工事に伴う撤去」と伝えて手続きを依頼します。ガス管の撤去作業には費用がかかることがあるため、事前に見積もりを確認しておきましょう。
また、撤去作業には立ち会いが必要となる場合が多いため、スケジュール調整も忘れずに行いましょう。
インターネット
光回線を使用している場合、電柱から自宅に引き込まれている回線を撤去する必要があります。契約しているインターネット会社に連絡し、回線の撤去を依頼しましょう。
無線のインターネットを利用している場合は、特別な手続きは不要です。
電話
固定電話を契約している場合、解体前に停止手続きを行い、引き込み線の撤去を依頼します。撤去までに時間がかかることもあるため、早めに連絡しておくと安心です。
もし撤去が間に合わない場合、電話会社から「電話線は切断して電柱に巻き付けておいてください」といった指示があるので、解体業者に伝えておきましょう。
CATV
CATV(ケーブルテレビ)を契約している場合も、解体前に撤去が必要です。契約会社に連絡し、撤去作業を依頼してください。
屋根や壁に設置されているアンテナなどがある場合は、合わせて撤去を依頼しましょう。場合によっては、配線の切り離しを電気業者に依頼する必要があるため、事前に確認しておくとスムーズです。
浄化槽
浄化槽を使用している場合、解体前に浄化槽の汲み取り作業を依頼しなければなりません。
浄化槽の中身が残ったままでは撤去ができないため、清掃業者に連絡して汲み取りを行いましょう。清掃業者が分からない場合は、自治体の窓口で相談すると業者を紹介してもらえます。
水道は工事完了後に停止
電気やガスと異なり、水道は解体工事中も必要になるため、事前に停止する必要はありません。
工事完了後に停止手続きを行えば問題ありませんが、水道料金の清算は事前に済ませておくと安心です。解体工事に伴う水道代を誰が負担するのかも、契約時に明確にしておきましょう。
まとめ
解体工事では、電気引込線の撤去を含め、さまざまなライフラインの手続きが必要になります。電気が通ったままだと、感電や火災といった事故につながるリスクがあるため、メーターや電線などの撤去を事前に行いましょう。
また、電気代の負担についても事前に確認し、契約時に明確にしておくことでトラブルを防ぐことができます。
解体工事をスムーズに進めるためにも、適切な準備を行い、安全な工事を実現しましょう。
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