擁壁の解体費用相場 | 擁壁の必要性や種類や費用を抑えるポイントと合わせて解説
擁壁の解体費用についてお調べではありませんか。主に傾斜地に建つ家に使用される擁壁は、種類や地域によって工事料金が異なるため、解体費用の試算が難しく、かつ高額になりやすいのが特徴です。
しかし、相見積もりを取ったり、解体時期を選んだりなど、いくつかのポイントをおさえれば解体費用の節約が期待できます。この記事では、擁壁の役割や種類について解説すると同時に、解体費用を抑えるためのポイントまで詳しく解説します。
擁壁の解体をお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
擁壁の必要性と役割
「擁壁」とは、土留め(山留め)の一種で、高低差のある土地に家を建てる際に設けられる壁状の構造物です。擁壁は、以下の2点において大きな役割を担っています。
- 土砂崩れを防ぐ
- 土地の有効活用
ここでは、それぞれの役割について詳しく解説します。
土砂崩れを防ぐ
擁壁は家の土台とも言える構造物で、土砂崩れや建物の倒壊を防ぐ役割を持っています。傾斜地に盛土または切土を行って家を建てる場合、そのままでは地盤が安定せず、建物の重さに耐えられず斜面が崩れてしまうおそれがあります。
そこで、擁壁を作ることで建物の下にある土を支えなければなりません。建築用語では「山留め」または「土留め」とも呼ばれ、擁壁は家を支える土台として広く利用されています。
土地の有効活用
擁壁は家の土台であると同時に、土地の有効活用を可能にするものでもあります。たとえば、高低差のある土地でも、擁壁によって斜面を平坦にしたり、階段状にしたりできるため、駐車場や庭のスペースを確保できます。
また、昨今ではデザイン性の高い擁壁も増えつつあるため、家のテイストを活かした空間演出をしたい場合にも最適です。このように、擁壁は建物の安全を守るとともに、より住みやすい環境づくりを叶える存在でもあると言えるでしょう。
擁壁の種類とそれぞれの特徴
擁壁は、主に以下の3種類に分けられます。
- コンクリート擁壁
- ブロック擁壁
- 石積み擁壁
擁壁の種類によって、強度や特徴が異なるため、ご自宅の擁壁がどの種類のものか確認しておくことをおすすめします。
コンクリート擁壁
現代の擁壁の主流ともいえるのが、「コンクリート擁壁」です。基礎に鉄筋を通してつくる「鉄筋コンクリート造」と、鉄筋を通さずコンクリートのみで仕上げた「無筋コンクリート造」の2種類があるのが特徴です。
鉄筋コンクリート造の方が強度が高く耐震性にも優れるため、特に多く採用される傾向にあります。コンクリート擁壁は施工する土地の形状によって「L型」「逆T字型」「もたれ式」など様々な構造で設置することが可能です。
このような柔軟性の高さも広く利用される理由の一つと言えるでしょう。
ブロック擁壁
ブロックを積み上げてつくる「ブロック擁壁」には、一般的に「間知ブロック」と「コンクリートブロック」の2種類があります。間知ブロックは単価が安く短工期で施工できることから人気があり、護岸ブロックや道路の境界などにも利用されるクラシックな擁壁です。
一方、コンクリートブロックは「CP型枠」とも呼ばれ、積み上げたブロックの中に鉄筋と生コンクリートを充填したものを指します。コンクリートブロックは間知ブロックよりも耐圧性が高く、それでいて厚みを抑えられる点が特徴です。
石積み擁壁
石積み擁壁は、自然石または石を模したコンクリートブロックを積んだ擁壁です。お城の石垣などをイメージするとわかりやすいでしょう。
1960年ごろまでは「大谷石」と呼ばれる自然石が使用されていましたが、現在は強度の問題からコンクリートブロックが使われています。なお、コンクリートブロックを使用した石積み擁壁では、モルタルやコンクリートで石同士を接着しながら積んでいく「練り積み工法」が一般的です。
擁壁の解体費用の相場はどのくらい?
擁壁の解体費用相場は1㎡あたり5,000円~5万円程度と非常に幅がありますが、実際はケースバイケースでさらに変動するのが特徴です。擁壁の解体費用を一概に説明できないのは、以下の点が理由です。
- 擁壁の種類や規模によるから
- 地域や業者によって異なるから
ここでは、擁壁の解体費用に影響する2つの要素について詳しく解説します。
擁壁の種類や規模によるから
一般的に、建物や構造物の解体費用は「取り壊しやすさ」によって左右されます。擁壁は大まかにコンクリート造、ブロック造、石造に分けられますが、同じコンクリート造でも鉄筋の有無や工法によって取り壊しやすさは変わるものです。
また、比較的取り壊しやすい素材であっても、解体規模(面積)が広ければもちろん工事費用は上がります。
高所作業が必要な場合は足場設置などに追加コストが発生する場合もあるでしょう。このように、現場によって擁壁の種類や規模が異なることから、一般的な解体費用相場を算出するのは難しいのが実情です。
地域や業者によって異なるから
擁壁解体を行う地域や業者によって解体費用の価格設定が異なる点も、相場が定まらない要因の一つです。たとえば、隣接する建物との距離が近い住宅地では、近隣への負担や影響を軽減するため、慎重な解体作業が求められます。
したがって、作業スペースや敷地に余裕のある地域よりも人件費や養生費(防音・防塵設備の設置コスト)がかかる可能性が高いでしょう。また、擁壁1㎡あたりの解体費用(坪単価)も業界全体で定まっているものではなく、業者によってまちまちです。
一般的に都市部の業者の方が坪単価が高い傾向にありますが、だからといって地方の解体業者が必ずしも安価であるとは限りません。地方ではそもそも解体業者の数が少なく競合相手がいないことから、あえて高めの価格にしているケースも少なくないのです。
以上の点から、解体を行う地域や業者によって擁壁の解体費用は大きく変わると言えるでしょう。
擁壁解体にかかる費用を抑えるためのポイント
擁壁解体にかかる費用を抑えるために、以下の3つのポイントをおさえておきましょう。
- 複数の業者から見積もりを取る
- 解体時期を選ぶ
- 再利用可能な材料を活用する
少しの手間と工夫で、擁壁の解体費用は節約できます。それぞれのポイントについて見ていきましょう。
複数の業者から見積もりを取る
擁壁の解体を行う際は、はじめに複数の業者から見積もりを取るようにしましょう解体業者によって、料金はもちろん、強みや特徴も異なります。
また、提示価格が極端に安い業者は、諸経費や追加費用などを意図的に記載していない可能性があります。
このような場合に比較できる他社の見積もりがあれば、解体にかかる費用の内訳がわかり、適正価格の見当がつきやすくなるでしょう。一般的には、3〜4社で相見積もりを取ることが推奨されています。
個別に解体業者に問い合わせるのが面倒な場合は、解体業者の一括見積りWebサービスを利用するのがおすすめです。
解体時期を選ぶ
解体業者が繁忙期に入る11~3月は依頼が集中するため、全体的な解体費用が高騰する傾向にあります。したがって、比較的依頼件数が落ち着く4~10月で擁壁解体を依頼するのがおすすめです。
ただし、梅雨や台風の時期に重なる6月と9月、猛暑によって作業が遅延しやすい7~8月は、工期が伸びることで追加費用が発生する可能性があります。よりスムーズに解体作業を進めたい場合は、気候が安定している4~5月、または10月でスケジュールを組むとよいでしょう。
再利用可能な材料を活用する
擁壁に使用されている一部の材料は再利用が可能です。たとえば、擁壁に使われたブロックや鉄筋は状態がよければ引き続き新しい擁壁の建材として利用できます。
また、解体にあたって粉砕されたコンクリートでも、リサイクルコンクリートとして別の現場で活用できる場合があるのです。解体工事において発生した廃材は、解体業者から専門業者に処理を依頼する仕組みになっており、別途廃材処理費が発生するのが一般的です。
しかし、再利用可能な材料であれば無料で引き取ってもらえたり、買い取ってもらえたりすることもあるため、コスト削減に繋がります。
したがって、擁壁解体を依頼する際は、解体業者もしくは別のリサイクル業者へ廃材の売却・譲渡ができるか事前に確認しておくのがおすすめです。
擁壁解体を依頼する際の流れと注意点
擁壁解体を依頼する際の一般的な流れは以下の通りです。
- 事前調査と計画を立てる
- 近隣住民への配慮をする
- 安全対策を徹底する
各ステップの注意点についても解説するため、あわせて参考にしてください。
事前調査と計画を立てる
解体業者に擁壁解体を依頼したら、まずは業者による現地調査が行われます。具体的には、以下の内容を調べるのが一般的です。
- 擁壁の構造や材料、老朽化の程度
- 解体作業が周囲の近隣の建物や設備に与える影響
- 法規制(建築基準法や都市計画法)や、解体作業に申請が必要かどうか
以上の点を基に作業計画を立て、正確な解体費用と工期が算出されます。なお、擁壁の状態や所在地によっては、事前に行政からの許可を得ないと解体工事を行えない場合があります。解体業者とも相談の上、必要な申請や許可の有無は必ず確認しておきましょう。
近隣住民への配慮をする
擁壁解体の作業においては騒音や振動が発生します。遅くとも着工の一週間前までには近隣住民に工事を行う旨を周知しておきましょう。解体業者でも、通常は防塵・防音シートなどを設置し、最低限の対策は行います。
しかし、法律で厳密に対策基準が定められているわけではないため、場合によっては近隣からクレームが入ることもあるでしょう。このような場合に備え、現場担当者にスムーズに繋がる連絡手段を確保することも大切です。
安全対策を徹底する
解体スケジュールと費用が決まり、近隣への周知も済ませたらいよいよ擁壁解体作業の開始です。作業中特に注意すべき点が安全対策と言えるでしょう。擁壁の立地によっては、足場を組んでの高所作業が必要になる場合もあります。
作業員の落下や転倒を防ぐ装備があるか、解体した廃材の飛散や倒壊を防ぐバリケードなどがあるかなど、依頼者の方でも確認しておくのがベターです。
解体作業が原因で通行人など第三者に被害を及ぼした場合、依頼者側が賠償責任を負うケースもあります。作業中の安全対策に不安を感じた場合は、すぐ解体業者に伝えるようにしましょう。
まとめ
擁壁は、傾斜地や山を切り開いた土地に建つ家にとって欠かせない存在です。しかし、老朽化や家のリフォームに伴い、解体が必要になることもあるでしょう。
鉄筋コンクリートやブロック、自然石など様々な種類から作られ、工法も多岐に渡ることから、擁壁の解体費用は一概に言えないのが現状です。
解体にかかるコストを少しでも安く抑えるためには、複数の解体業者から見積りを取得することが大切です。
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