空き家の解体費用を安く抑える!補助金活用と支払えない場合の方法
「放置してきた空き家があり、倒壊の恐れがあるので解体したい」「空き家を相続したけど、空き家の処分や活用法が分からない」など空き家について悩まれている方も居ると思います。
ここでは解体費用をメインにお伝えしながら、
・解体費用が高くなるケース、安くなるケース
・解体費用を安く抑えるポイント・支払えない場合
・空き家を放置するリスク
・空き家、土地を手放す?活用する?
・解体見積りの実例
をご説明できればと思います。
空き家について悩んでいる人にとって少しでも参考になれば幸いです。
1.解体費用の相場は100~300万
解体費用の相場は、おおむね100~300万円程度 と考えるとよいでしょう。
おおよその相場は構造ごとに以下のように考えることができます。
【木造】
・10坪 31万~41万円
・20坪 62万~88万円
・30坪 93万~132万円
・40坪 124万~176万円
・50坪 124万~176万円
・60坪 186万円~264万円
・70坪 217万円~308万円
【鉄骨造】
・10坪 34万円~47万円
・20坪 68万円~94万円
・30坪 102万円~141万円
・40坪 136万円~188万円
・50坪 170万円~235万円
・60坪 204万円~282万円
・70坪 238万円~329万円
【鉄筋コンクリート造】
・10坪 35万円~80万円
・20坪 70万円~160万円
・30坪 105万円~240万円
・40坪 140万円~320万円
・50坪 175万円~400万円
・60坪 210万円~480万円
・70坪 245万円~560万円
また、家の大きさ以外にも「立地」「アスベスト」「残置物(家の中にある家電製品や生活用品)の量」などによって、解体費用が変わっていきます。下記では解体費用が高くなるケースと安くなるケースをまとめました。
解体費用が高くなるケースと安くなるケース
解体費用が高くなる場合や安くなる場合について気になる方が多いでしょう。ここでは、解体費用が高くなるケースと安くなるケースを詳しくご紹介します
解体費用が高くなるケース
解体費用が高くなる・割高になるケースを3つご紹介します。
・残置物がある場合
家の中に残っている家電や日用品、家具などの量に応じて、解体費用に加えて残置物の撤去費用が発生します。解体作業で出る木材やコンクリートガラは産業廃棄物に分類され、一方で一般廃棄物に該当する家電や家具は処理方法が異なります。これにより運搬コストや分別作業が増え、費用が高くなります。産業廃棄物と一般廃棄物の詳しい説明はこちらから
・狭い場所での解体
建物の周囲に十分なスペースがない場合、重機の搬入に時間がかかるため、効率的な作業が難しくなります。特に隣家との距離が近いと、重機を使えず手作業での解体が必要になり、その分費用がかさむことになります。
・石綿(アスベスト)を含んでいた場合
アスベストは非常に細かい繊維状の鉱物で、耐熱性や耐腐食性に優れているため、かつては建物の屋根や断熱材に広く使用されていました。しかし、アスベストを吸引すると健康に深刻な影響を及ぼすため、含まれている建物の解体には特別な注意と対応が必要です。これにより、解体費用が増加することがあります。
アスベストについての説明はこちら
解体費用が安くなるケース
解体費用が安くなる・割安になるケースを3つご紹介します。
・残置物がない状態で解体する場合
家の中に家電や日用品、家具などの残置物がない場合、解体費用は余分なコストがかからず、解体作業に専念できます。残置物がある場合と比べて、費用を抑えることが可能です。
・十分なスペースがある場合
隣に空き地や庭があり、重機や車を設置できるスペースが確保できると、作業がスムーズになります。所有地内に重機を置ければ、作業効率が向上し、費用も安くなります。逆に、スペースが不足するとコストが上がることがあります。
・複数棟を同時に解体する場合
一棟ずつ解体するよりも、隣の棟と同時に解体することで解体費用はあがりますが、一坪当たりの単価が抑えられます。複数棟をまとめて解体することで、重機の搬送や人件費、養生費用が一度で済むため、割安になります。解体したい物が複数ある場合や、隣も解体予定なら、同時解体を検討するのが良いでしょう。
2.解体費用を安く抑えるポイント・支払えない場合は?
解体費用はクレジットカードに対応していない業者が多く、解体を行う前に着手金として3~5割支払うのが一般的です。そのためまとまった資金がないと支払いが難しくなります。
ここでは解体費用を安く抑えるポイントや解体費用が支払えない場合について、ご紹介していきます。
解体費用を安く抑えるポイント
①補助金を使う
自治体によっては、補助金制度を活用できるケースがあります。以下のような内容の補助金制度を利用できる可能性があるため、解体したい建物がある場所の自治体制度を確認しましょう。
家の解体費用で受けられる補助金については、以下の記事でくわしく解説しています。
解体費用補助金についてはこちら
②残置物(家具・家電・日用品など)を自分で撤去して解体費用を安くする
家の中にある残置物(家具・家電・日用品など)の解体は、建物を解体して出る木くず・コンクリートガラとは別の方法で処分する必要があるため、別途追加費用がかかるのが一般的です。そのため、解体費用を少しでも安く済ませたい方は、残置物を建物内に残すことなく、自分で処分するとよいでしょう。
③必ず相見積もりを取ろう
解体業者に見積もりを取るときは、必ず相見積もりを取るようにしましょう。同じ工事内容であっても、業者ごとに解体費用は異なるものです。
④解体工事会社(解体業者)の都合に合わせて工事を依頼しよう
期限がない場合は、工期を2か月程度と設定し、「解体工事会社の手が空いているときに作業してもらい、その分少しお安くできませんか?」と値引き交渉が可能です。一般的に、一軒家の解体は約2週間で完了します。
「〇月〇日までに終わらせたい」となると、工事スケジュールをお客様の都合に合わせる必要がありますが、工期を2か月や3か月と長めに取ることで、業者が柔軟にスケジュールを組むことができます。例えば、「今日○○市で工事があるから、まとめて解体作業をしようなど解体工事会社が自由にスケジュールを組むことができます。
解体費用が支払えない場合は?
①解体ローンを使う
・空き家解体ローン
名前の通り空き家の解体する際に利用できるローンです。
空き家対策として自治体と金融機関が提携しており、金融機関によっては担保や保証人は不要、金利が低い、審査が比較的通りやすいのが特徴があります。
・フリーローン
結婚・旅行・引っ越し・教育費など多目的な資金用途が認められるローンです。
地方銀行やネット銀行、様々な金融機関にて取り扱いがあります。
・プロパーローン
金融機関が独自に提供するローンの事で、多目的に利用できるローンです。通常の住宅ローンでは、もしもローン利用者が支払いができなくなった場合、保証会社が代わりに金融機関に返済しますが、プロパーローンでは、金融機関が直接リスクを負ってローン利用者に貸すため、審査がとても厳しいです。
金融機関によって取り扱う商品や条件が異なるため、詳しくは各金融機関へお問い合わせください。
②建物つき土地として売る
不動産会社に古家付きのまま売却できるか相談してみましょう。古家付きのまま売却できた場合、解体費用が不要となります。ただし、買主が少ないエリアでは古家付きだと売れないケースもあります。
古家付き土地として買主が見つからない場合は、更地での売却も検討しましょう。
③売却益で解体する
売却益を利用して解体費用をまかなう方法もあります。具体的には、土地や建物を売却し、その売却代金で解体を行うという手段です。ただし、この条件が可能かどうかは、不動産会社や買主によって異なるため、事前に確認が必要です。
④買取業者に依頼してみる
築年数が古くなったり、状態が悪化して売りにくい住宅を直接買い取る業者のことです。
不動産会社とは異なり、仲介をせず、業者が直接物件を購入するため、スピーディーに売却できる点が特徴です。
通常、不動産市場での販売は時間がかかることが多く、買主との交渉や内覧対応など、様々な手間が生じますが、買取業者であれば、これらの手間が省けます。また、空き家や古い家の処分に困っている人にとっては、解体やリフォームの負担を気にせずに売却できるメリットがあります。
デメリットとしては、仲介(買主を見つけて売却する)よりも査定額が低くなる可能性があります。
3.空き家を放置するリスク
①建物の老朽化による危険性
空き家を適正に管理しないと、雨漏りやシロアリの発生を引き起こしやすくなります。
これにより建物の老朽化が進みやすくなり、建物の耐久性が低下します。
もし、台風や地震の影響で「屋根の一部が飛んでしまい、隣の家の窓を割ってしまった」「敷地内にあるブロックが倒れて、通行人がけがをしてしまった」場合、空き家の所有者が損害賠償の責任を負うことになります。
②不法侵入や盗難、放火の危険性
誰も住んでいない=人の気配がなく監視する人もいません。このような場所は犯罪者にとって好都合な場所となります。不審者が侵入し、家の内部を破壊・荒らしたりするリスクや犯罪者によって放火をされ、火事が起きてしまう危険性もあります。
③地域の景観への影響、資産価値の低下
土地を購入したいと考えたときに、「樹木や雑草が生い茂り、建物がほとんど見えない」「野生の動物が住み着いている」と場所があると、「別の場所を探した方が良いのでは」「この物件は大丈夫だろうか」と不安になりますよね。このような状況にある建物は、その周辺の不動産価格や人気にも悪影響を及ぼす可能性があります。
また、土地を売却したいときに、樹木や雑草が生い茂っていると、資産価値が低下し、買主を見つけるのが難しくなる可能性があります。更地にして売却しようにも樹木や雑草の処分費用も発生するため、費用負担が増加します。
4.空き家・土地を手放す?活用する?
空き家になった建物・土地を活用しようか、手放そうか悩む人もいるでしょう。
ここでは、手放す方法と活用する方法にどんな手段があるのか、お伝えしていきます。
空き家・土地を手放す方法
不動産会社に売却を依頼する
家を売りたい人と家を買いたい人を仲介してくれる会社です。
建物付きで売却もしくは更地にして売却をします。どちらが良いかはエリアや建物の状態に酔って異なるため不動産会社に相談しましょう。
買取業者に依頼する
前述に記載した通り、築年数が古くなったり、状態が悪化して売りにくい住宅を直接買い取る業者のことです。住宅・土地をそのままの状態で買い取ってくれるため、解体費用やリフォーム費用が不要です。
相続土地国庫帰属法制度
相続した土地を国に引き渡すことができる制度です。この制度により、土地を相続したものの維持管理や税負担が難しい場合、その土地を国に「帰属」させることで手放すことが可能になります。
空き地や使われない土地が増加する問題に対応するために令和5年4月27日から開始された制度です。相続で引き継いだ土地を管理しきれない場合、その土地を国が引き取ることで、所有者の負担を軽減し、適切に管理できる仕組みを整えることが目的です。
利用するための条件があり、手続きのための手数料や空き家管理費として、費用がかかります。
詳しくは法務省のサイトをご覧ください。相続土地国庫帰属法制度について
空き家バンクに登録する
空き家バンクは、自治体が空き家情報を集め、公開・運営するサイトで、空き家を手放したい人と利用したい人をつなぐ仕組みです。新たな住まいや事業用物件を探している人に空き家を紹介することを目的としています。具体的には、自治体が空き家の所有者から情報を集約し、物件情報を自治体のウェブサイトや空き家バンクのポータルサイトに掲載し、購入や賃貸を希望する人と所有者をマッチングする役割を担っています。
空家・土地を活用する方法
新築を建てる、リフォームをする
空き家を解体して新築を建てる、またはリフォームして自分たちで住む方法があります。
例えば、空き家を解体して新築する場合、その土地の条件に合わせた間取りや、最新の耐震・断熱性能を備えた家を建てることができます。デザインや設備の自由度も高いため、理想にぴったりの住まいを実現することが可能です。
一方、既存の建物を生かし、現代のライフスタイルに合わせてリフォームする方法もあります。建物の一部に趣や思い出を残したい場合にはリフォームが適しています。これらの方法では、土地を新たに探したり、不動産会社や売主と交渉する手間がないため、比較的コストを抑えられるというメリットもあります。
戸建て賃貸として貸し出す
一戸建て住宅を賃貸物件として貸し出す形態のことです。アパートやマンションの賃貸と異なり、敷地内に1棟だけ建てられた一軒家を丸ごと借りられるため、広々とした住空間やプライバシーの確保が期待できます。戸建て賃貸は家族連れや広い空間を好む人に人気があります。
しかし、そのまま貸し出せる状態ではない場合は、必要に応じてリフォーム費用がかかります。
月極駐車場やコインパーキング、トランクルームとして活用する
建物を壊し、その場所を月極駐車場やコインパーキング、トランクルームとして活用することで安定した収益を得ることが出来ます。これらの活用方法は地域の需要に大きく依存します。空き地の周辺に駐車場やトランクルームが必要とされているか、調査を行うことが重要です。
その他にも貸土地、貸農園、太陽光発電にする方法もあります。
5.解体費用の事例紹介
解体工事会社に見積りを依頼すると、「分かりにくい用語が多い」「各社で項目が異なる」といったことがよくあります。
ここでは、実際の見積りをもとに項目を説明し、10坪から60坪の解体事例とその費用をまとめました。
【事例1】10坪台 木造平屋
解説
・木造平屋建て解体工事一式:建物を壊し、廃材を処分する費用
・足場養生一式:建物解体時に、周囲に足場や養生を設置するための費用
・生木(梅木・1本)撤去処分一式:木を撤去・処分する費用
・プレハブ解体撤去一式:プレハブを解体・撤去する費用
・駐車場撤去処分一式:駐車場を解体・撤去する費用
・残地ゴミ撤去処分(冷蔵庫含む)一式:家の中にある残置物(生活用品や家電用品の撤去)
・重機回送代:解体に使う油圧ショベルなどの重機を運ぶための費用
・諸経費:書類手続きや事務手続きの費用
解説
・外部単管養生シート 3面 ブルーシート:建物解体時に、周囲に足場や養生を設置するための費用
・木造2F分別解体運搬処分:建物を壊し、廃材を処分する費用
・下屋 撤去運搬処分:下屋を撤去&運搬する費用
※下屋についての詳しい説明は、こちらをご覧ください
・前面ブロック塀1面 撤去運搬処分費用:プレハブを解体・撤去する費用
・土間 撤去運搬処分:土間を撤去&運搬する費用
※土間についての詳しい説明は、こちらをご覧ください
・植木 撤去運搬処分 根・株とも:木を撤去・処分する費用
・敷石・庭石 撤去運搬処分:石を解体・撤去する費用
・重機回送運搬経費 往復:解体に使う油圧ショベルなどの重機を運ぶための費用
解説
・S造2F家屋解体工事 内装解体工事費:建物の内装を壊し、廃材を処分する費用
・S造2F家屋解体工事 躯体解体工事費:建物全体を支えている骨組みを壊し、廃材を処分する費用
・S造2F家屋解体工事 基礎解体工事費:建物と地面のつなぎ部分に当たる基礎を壊し、廃材を処分する費用
・付帯工事 門扉撤去工事:門に設置てある扉を解体・撤去する費用
・付帯工事 植栽撤去工事:木を解体・撤去する費用
・付帯工事 スチール物置撤去工事:物置を解体・撤去する費用
・仮設工事 養生費:建物解体時に、周囲に足場や養生を設置するための費用
・仮設工事 重機回送費:解体に使う油圧ショベルなどの重機を運ぶための費用
・仮設工事 一般諸経費:書類手続きや事務手続きの費用
解説
・飛散防止養生シート:建物解体時に、周囲に足場や養生を設置するための費用
・内外部廃材撤去工事 家電を含む:建物の外や中にある残置物(廃材)を処分する費用
・内装材廃材撤去工事 圧縮板・クロスなど:床、壁、天井などを解体・撤去する費用
・スレート手降ろし工事 飛散性:アスベストが含まれているスレートを解体・撤去する費用
・軽量鉄骨造倉庫解体工事:倉庫を解体・撤去する費用
・同上土間・基礎撤去工事:倉庫の土間・基礎を解体・撤去する費用
・車庫解体工事:車庫を解体・撤去する費用
・アルミポート撤去工事:アルミで作られたカーポートを解体・撤去する費用
・樹木撤去工事:木を撤去・処分する費用
・物置撤去工事:物置を撤去・処分する費用
・重機回送費:解体に使う油圧ショベルなどの重機を運ぶための費用
・諸経費・消耗品:書類手続きや事務手続き、解体する際に使う消耗品の費用
解説
・建物解体工(木造一部2階建) 人力・機械併用解体、積み込み:建物を壊す費用
・建物解体工(木造一部2階建) 同運搬・処分費用:建物を壊し、出た廃材を運搬処分する費用
・立木伐採撤去 直径15cm~70cm 15本 地際伐採:木を撤去・処分する費用
・建物内外残置物処理費(8㎥積コンテナ):家の中や外にある残置物を撤去する費用
・重機回送費:解体に使う油圧ショベルなどの重機を運ぶための費用
解説
・防炎シート養生組立費:建物解体時に、周囲に足場や養生を設置するための費用
・鉄骨塔屋手壊し:塔屋を撤去・処分する費用
※陶屋とは、屋上に作られた建物(機械室、階段室、設備質などとして利用される)
・鉄骨造3階建解体撤去費:建物を壊し、廃材を処分する費用
・残置物撤去費:残置物を処分する費用
・浄化槽撤去費:浄化槽を処分する費用
・敷鉄板設置:人や工事車両が安全に通行するためや、地面を傷付けないようにするために敷く鉄板を設置する費用
まとめ
空き家や古家の解体には、しっかりとした事前計画と情報収集が欠かせません。解体費用の相場やコストを抑えるポイント、さらに手放し方や活用方法を理解することで、スムーズに進めることが可能です。また、自治体の補助金や解体ローンを活用することで、経済的な負担を軽減することもできます。空き家の解体をお考えの方は、ぜひ専門家に相談しながら、最適な方法を見つけていただければと思います。あなたにとって最良の解決策が見つかることを願っています。
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