古家解体費用の相場は?安く抑えるポイントを徹底解説
古い家の解体を検討しているけれど、「解体費用はどれくらいかかるのか?」や「どうすれば費用を安く抑えられるのか?」と悩んでいませんか?
解体費用は、建物の構造や大きさ、立地条件によって大きく異なります。しかし、補助金の活用方法や費用を抑えるポイントを知っておくことで、大きな節約につながることもあります。
この記事では、古家解体費用の相場や、費用を安く抑えるためのコツ、さらに古家を解体してから売却する際のメリット・デメリットを、初心者にも分かりやすく解説します。最後まで読んでいただければ、無駄な費用を避けつつ、安全かつ効率的に解体工事を進めるための知識がしっかり身につきます。
目次
1.古家とは?
「古家」とは、築年数が経過し、老朽化が進んだ住宅を指します。具体的には、現代の建築基準や住居としての機能を満たさない場合に使われることが多い言葉です。これらの家屋は、外観や設備が損傷していることが一般的で、快適性や安全性に欠ける場合が多いです。
不動産市場では、古家は「古家付き土地」として取引されることがあり、この場合、土地の価値が主となり、建物自体の資産価値はほとんどないか、取り壊しを前提にしていることが多いです。
ただし、古家は必ずしも無価値ではなく、リフォームやリノベーションを施すことで新たな価値を見出すことができる場合もあります。特に、建物の構造がしっかりしている場合や、周囲の環境が魅力的な場合には、活用の余地があることもあります。
2.古家の解体費用の相場と安く抑えるコツ
古家の解体費用の相場は、おおむね100~300万円程度と考えるとよいでしょう。
おおよその相場は構造ごとに以下のように考えることができます。
坪単価あたりの解体費用
- 木造:31,000円/坪~44,000円/坪
木造住宅の解体費用相場についてはこちら - 鉄骨造:34,000円/坪~47,000円/坪
鉄骨造住宅の解体費用相場についてはこちら - RC造(鉄筋コンクリート):35,000円/坪~80,000円/坪
RC住宅の解体費用相場についてはこちら

木造などの壊れやすい住宅は安く、鉄骨造りやRC造(鉄筋コンクリート)などの壊れにくい住宅は高くなる傾向です。
解体費用の相場を表にまとめました。
あくまでも目安となるため、正確な金額は見積りを取得して確認することをお勧めします。
(例)
家の構造 | ![]() 木造 | ![]() 鉄骨造 | ![]() 鉄筋コンクリート造 |
---|---|---|---|
10坪 | 31〜44万円 | 34〜47万円 | 35〜80万円 |
20坪 | 62〜88万円 | 68〜94万円 | 70〜160万円 |
30坪 | 93〜132万円 | 102〜141万円 | 105〜240万円 |
40坪 | 124〜176万円 | 136〜188万円 | 140〜320万円 |
50坪 | 155〜220万円 | 170〜235万円 | 175〜400万円 |
60坪 | 186〜264万円 | 204〜282万円 | 210〜480万円 |
70坪 | 217〜308万円 | 238〜329万円 | 245〜560万円 |
80坪 | 248〜352万円 | 272〜376万円 | 280〜640万円 |
90坪 | 279〜396万円 | 306〜423万円 | 315〜720万円 |
100坪 | 310〜440万円 | 340〜470万円 | 350〜800万円 |
解体費用を安く抑えるためのポイント
解体費用を抑えるためには、どんな方法があるのでしょうか。
ここでは補助金制度や安くなるポイントについて、ご紹介していきます。
補助金を使う
自治体によっては、補助金制度を活用できるケースがあります。以下のような内容の補助金制度を利用できる可能性があるため、解体したい建物がある場所の自治体制度を確認しましょう。
- 老朽危険家屋解体工事補助金
- 危険廃屋解体撤去補助金
- 木造住宅解体工事費補助時用
長期間使用されていない家があると、災害時に二次被害を引き起こす危険性があります。また、新しい建物が建てられないため、街の活性化が妨げられ、景観も損なわれてしまいます。そのため、長期間管理されていない家や耐震性の低い家の解体に対して、補助金が用意されていることが多いです。
補助金については、自治体に直接確認するのも良いですが、解体業者にどのような補助金が利用できるか尋ねるのも一つの方法です。過去にその補助金を利用した経験のある業者であれば、具体的な条件や手続きについて詳しくアドバイスをもらえる可能性が高いでしょう。
家の解体費用で受けられる補助金については、以下の記事でくわしく解説しています。
残置物(家具・家電・日用品など)を自分で撤去して解体費用を安くする
家の中に残った家具や家電、日用品などの残置物は、解体時の木くずやコンクリートとは異なる処分方法が必要なため、追加費用がかかります。解体費用を抑えるには、これらを自分で処分するのがおすすめです。
- 家具・家電 自治体に粗大ごみとして回収を依頼するか、リサイクルセンターに持ち込む。
- 日用品・骨董品 ジモティーやメルカリでリユースするか、不燃ごみとして処分。
粗大ごみの回収は自治体のホームページで確認できます。「○○市 粗大ごみ」で検索すると詳細情報が見つかります。費用は数百円~数千円程度で、解体業者に依頼するよりも安価です。
必ず相見積りを取ろう
解体業者に見積りを依頼する際は、必ず複数の業者から相見積りを取ることをおすすめします。同じ工事内容でも、業者によって解体費用が異なるためです。
この差は、業者ごとの利益率や、業者の拠点から現地までの距離、さらには他の案件の進行状況にも影響されます。例えば、他の案件で業者が忙しい場合は費用が高くなることがあり、一方で、時間に余裕がある時期には割安で依頼できることもあります。
そのため、複数の業者から見積りを取り、条件を比較することで、最適な業者を選び、コストを抑えることができます。
解体工事会社(解体業者)の都合に合わせて工事を依頼しよう
解体工事会社(解体業者)は、お客様から「契約をしたいです」と言われた順に解体のスケジュールを抑えていきます。そのため「〇月〇日までに完工したい」と思っても、他のお客様のスケジュールによっては、金額が高くなる・解体の依頼ができないという事が起きます。
もし解体の期限に余裕がある場合は、工期を2か月程度設定し、「解体工事会社の手が空いているときに工事を行ってもらえますか?その分、少し割引してもらえませんか?」と値引き交渉をすることが可能です。
※一般的に、一軒家の解体には約2週間かかります。
特定の日にちまでに終わらせたいという場合は、お客様の都合に合わせたスケジュールを組む必要がありますが、工期を2か月や3か月と長めに取ることで、「○○市で工事があるから、そのついでに一緒に作業しよう」と他の工事と組み合わせてスケジュールを自由に調整できるためです。

3.解体費用の内訳
解体費用の内訳は、主に5つに分類されます。
この章では、見積りの内訳について説明していきます。

- 建物取壊費用(30%~40%)
- 廃棄物処理費用(30%~40%)
- 諸費用(20%~30%)
- 解体工事会社(解体業者)の利益(10%~20%)
- 付帯工事費用(+α)
建物取壊費用(30%~40%)

家を取り壊すために必要な費用が「建物取壊費用」となります。
主にかかる費用としては以下のとおりです。
- 家を解体するための足場や防音・防じんシート
- 重機が通るための敷き鉄板
- 敷地を囲う仮囲いゲート
- 解体作業員たちが使用する仮設トイレ
- 解体作業員たちの人件費
- 重機使用料
廃棄物処理費用(30%~40%)

家を解体すると、木材や屋根の瓦、基礎のコンクリートなど、多くの廃棄物が発生します。一般的な二階建ての木造住宅(約30坪)を解体すると、4トントラックで5〜10台分の産業廃棄物が出ることがあります。しかし、これらは家庭ごみのように一般のごみ処理場に持ち込むことはできません。
産業廃棄物は、建設リサイクル法に基づいて分別・再資源化することが法律で定められており、適切な処理には相応の費用がかかります(参考:環境省|リサイクル法の概要)。
残念ながら、一部の悪質な解体業者は、山に投棄したり空き地に埋めたりすることもあります。解体費用が異常に安い業者には十分注意しましょう。
諸費用(20%~30%)

諸経費は一般的に以下のような費用が含まれています。
- 各種書類の作成・申請費用(建設リサイクル法・道路使用許可など)
- 近隣へのあいさつ費用(粗品・人件費など)
- 借地料(重機などの駐車スペースなど)
解体工事会社(解体業者)の利益(10%~20%)

ボランティアではないので利益をしっかりと確保した上で、解体の見積り書を作ります。
とはいえ、他の業種の粗利率からみてもそこまで大きく儲かる業種ではありません。
業種別の粗利率
- 製造業 = 22.3%
- 卸売業 = 11.8%
- 小売業 = 27.6%
- 建設業 = 17.7%
- 飲食業 = 56.8%
※粗利(売上総利益) = 売上高 - 売上原価(参考:経済産業省|売上利益率)
付帯工事費用(+α)

「建物以外のすべての工事費用」が付帯工事費用になります。
そのため下記のようなものがあると、費用が高くなります。
- 残置物が多く残っている
- ブロック塀の有無
- 庭に樹木や石がある
- 井戸がある
残置物の量、ブロック塀の高さ・長さ、樹木の本数によって金額が変動するため、実際に解体費用の見積りを依頼しないと、付帯工事の費用を把握することは難しいです。
4.解体費用の増減を左右するポイント
解体費用は建物の大きさや構造だけでなく、周囲の環境や条件によっても大きく異なります。ここでは、費用が高くなる場合とその理由をご説明します。
解体費用が高くなるポイント
解体費用が高くなりやすい代表的なケースを3つご紹介します。
残置物がある
建物の中に家電や家具、日用品が残っていると、それらを処分するために追加の費用がかかります。解体作業で発生する木材やコンクリートのガラは産業廃棄物として処理されますが、家電や家具は一般廃棄物に該当し、それぞれ異なる処理が必要です。そのため、運搬や分別の手間が増え、コストが高くなります。
狭い場所での解体
建物周辺に十分なスペースがない場合、重機を使うのが難しく、手作業で解体を進める必要があります。特に隣家と距離が近い場合、安全に作業を行うための追加の手間が発生します。その結果、作業効率が下がり、費用が増える傾向があります。
石綿(アスベスト)が含まれていた場合
かつて耐熱性や耐腐食性に優れた建材として使用されていたアスベスト(石綿)は、健康への影響が深刻であるため、特別な除去方法が求められます。アスベストを含む建物を解体する際には、専門的な対応や防護対策が必要になり、その分費用が高くなります。
解体費用が安くなるポイント
解体費用が安くなる・割安になるケースを3つご紹介します。
残置物がない状態で解体する
建物の中に家電や家具、日用品などの残置物が一切ない状態で解体を進めると、余計なコストが発生しません。解体作業に専念できるため、残置物がある場合と比べて費用を大幅に抑えられることが多いです。事前に残置物を片付けておくことで、予算を節約できます。
十分なスペースがある
隣に空き地や庭があるなど、建物周辺に重機や車両を設置できる広いスペースがあると、解体作業がスムーズに進みます。重機を所有地内に配置できれば、搬入・搬出の手間が省け、作業効率が向上します。逆に、スペースが狭いと作業が難航し、費用が上がる可能性があるため、事前に確認しておくことが重要です。
複数棟を同時に解体する
解体する建物が複数ある場合、同時に解体することで個別に解体するよりも割安に解体できることがあります。解体費用全体としては増加するものの、重機の搬送費用や人件費、養生費用などが一度で済むため、1棟あたりの解体費用が抑えられるためです。
5.古家を解体してから売却するメリット・デメリット
「古家付き」の土地を売却する場合、古家の解体費用は土地を購入する買主側が負担します。そのため、解体費用や手間などを考慮して、土地の売却価格が安くなることが一般的です。
一方で、売主側が古家を解体し、更地にして売却する方法もあります。この場合、売主には解体費用がかかるデメリットがありますが、新築を建てたい購入希望者にターゲットを絞ることで、土地が早く売れる可能性や、売却価格を高く設定できるメリットがあります。
以下では、古家を解体してから売却するメリット・デメリットを解説します。

メリット
- メリット1:新築を建てたい人にターゲットを絞れる
古家を事前に解体することで、購入希望者を「新築を建てたい人」に絞り込むことが可能です。日本では依然として新築住宅を希望する人が多く、更地として販売することで、物件の魅力が大きく向上します。
また、古家をそのまま売却する場合、築年数が経過した物件では買い手が見つかりにくく、売主が契約不適合責任(旧瑕疵担保責任)を負うリスクもあります。一方、更地での売却ではこのようなリスクを軽減できます。
さらに、新築住宅は税制優遇(住宅ローン控除など)の対象となりやすいため、買主にとって経済的なメリットも感じられます。
- メリット2:売値を高くできる可能性がある
事前に家を解体して更地として売却すれば、中古戸建付きの土地として売却する場合よりも、売却価格を高く設定できる可能性があります。
中古戸建付きの土地を購入する買主は、購入後に解体費用や手間がかかることを懸念し、値引き交渉をしたり、購入を見送ることがあります。
- メリット3:短期間で売却できる可能性がある
更地として売却すれば、買主が新築計画を立てやすいため、短期間で売却が進むことが期待できます。更地として売却することで、買主が新築計画を立てやすくなり、購入意欲が高まるためです。
一方で、中古戸建付きの土地や中古戸建として売却する場合、建物の状態や用途を確認するために、買主が慎重に検討する時間が必要になります。その結果、売却までの期間が長引くことが多く、場合によっては購入希望者がなかなか現れない可能性もあります。
デメリット
- デメリット1:解体費用を自分で負担しなければならない
デメリットとして、解体費用を売主自身が負担しなければならない点が挙げられます。先述のように、家を解体することで売値を高く設定できる可能性があるのは事実ですが、それでも解体費用は必要経費として事前に準備しておくことが重要です。
なお、家を解体するためにかかった費用については、土地売却時の課税対象となる売却益から経費として差し引くことが可能です。この点を活用することで、解体費用の負担を少しでも軽減できる可能性があります。
- デメリット2:固定資産税が高くなる
土地に家が建っている場合、固定資産税が最大で6分の1になる特例があります。しかし、家を解体して更地にすると、この特例が適用されなくなります。
特に立地が悪いなど土地に魅力がない場合、家を解体した後に買主が現れない可能性もあります。このような場合、固定資産税の負担が大きくなり、経済的な負担が増すことになるため、解体のタイミングや費用負担には十分な注意が必要です。
6.まとめ
古家を解体してから売却することには、解体費用や売却価格にさまざまな影響があります。解体費用が高くなる原因としては、残置物の処理や、狭い場所での作業、アスベストが含まれている場合などが挙げられます。これに対して、解体費用を抑えるためには、残置物を取り除いてから解体を行うことや、十分なスペースを確保すること、また複数の建物を一度に解体することが効果的です。
さらに、事前に家を解体して更地として売却することで、購入者が解体の手間を省けるため、購入意欲が高まりやすくなります。このように、更地での売却は価格設定に有利であり、売却のスピードも早くなることが期待できます。
解体費用を適切に見積り、状況に応じた解体方法を選ぶことで、売却時に得られる利益を最大化できる可能性があります。
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