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空き家解体の手順とは?工事の流れと注意点を分かりやすく解説!
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2024.01.31

目次

「空き家の解体ってどう進めたらいいの?どんなことに注意すればいいのだろう?」解体工事は人生の中で大きなイベントですが、工事は初めてという方が殆どです。

工事を依頼する際には、どのような手順で進んでいくのかを把握し、どんなことに注意しておくのか理解しておかないと、後々思わぬトラブルに巻き込まれることも…。

この記事では、初めての解体工事に不安を抱えている方向けに、工事の手順と注意点を分かりやすく解説しています。ぜひ最後までチェックしてみてください。

解体工事の全体像と工事にかかる期間を把握しよう

まずは解体工事の全体像を大まかにでもイメージできるとよいでしょう。
以下が工事の大まかな手順となります。

  • 解体業者を選定し、見積りを依頼する
  • 各種申請やライフライン停止などの手配
  • 工事に向けた事前準備をする
  • 工事の着工
  • 整地~完工

また、解体工事にどれくらいの期間が掛かるのかを把握しておくのも大切です。

工事は一般的に、解体業者の選定から解体完了まで3か月ほど掛かるものと理解しておきましょう。

そのため、解体工事を完了したい時期の3~4か月前から動く必要があります。

特に、年度初めの4月と年末の12月は、解体の繁忙期であるため依頼しにくい場合もあるので、早めに動くようにしましょう。

解体作業にはどんなことがあり、どれくらいの期間が掛かるのかを理解して解体計画を進めるとよいでしょう。次に、各手順の詳細と注意点について解説します。

【手順①】解体業者を選定し、見積りを依頼する

解体工事を始めるとなったら、まず解体工事業者の選定が重要です。

解体工事業者は数多くあり、ネットや広告などさまざまな業者を目にすることは多いでしょう。しかし、業者によっては違法作業する業者や高額な解体費用を請求される場合もあるので注意が必要です。

解体業者の選定

解体業者を選定する際には次のような方法があります。

  • ネットや広告で業者を見つける
  • 知人に紹介してもらう
  • 以前依頼したことがある業者に再依頼する

さまざまな方法がありますが、基本的には最初から1社に絞るのではなく複数の解体工事会社に見積もりを依頼するようにしましょう

以前に依頼した会社であれば、大丈夫だろうとすぐに依頼する方もいらっしゃいますが、解体工事は規模や時期によっても価格は異なります。

その都度見積もりを取って金額を確認することが大事です。

また、1社だけの見積もりでは費用が高いのか、サービスが適切なのかなど判断できないものです。

複数の会社から見積もりを取ることで、費用の妥当性やサービスの比較なのが可能になり、適切な業者を選べるでしょう。

ただし、見積もりが相場とかけ離れている安い業者には注意が必要です。

解体工事は人件費・処分費などが掛かるため、一定の相場があります。

おそらく見積もりを取るとある程度の金額で似てくるので、それが相場と言えるでしょう。

しかし、中には相場よりもかなり安い見積もりを提示する会社もあります。

「安いに越したことはない」と思われるかもしれませんが、安い場合は後から追加費用で高額請求される場合や、違法工事で安く賄っている場合もあるので注意が必要です。

業者による現地確認と見積りの受け取り

解体業者の目処が立ったら、業者による現地(解体する物件の)確認です。

現地確認では、次のようなことを確認していきます。

  • 坪数や立地状況
  • 有害物質の有無

見積りを依頼する際に大まかな広さを業者に事前に伝えます。その情報を元に現場で物件の規模や立地を確認します。

この確認で、おおよその作業人員や日数が判明しより具体的な金額などが算出されていきます。

また、解体作業では重機や産業廃棄物の運搬のためのトラックの搬入が必要になるものです。

そのため、敷地内に搬入スペースがあるのか、トラックが通れる道路があるのかなども確認していきます。

重機やトラックを直接敷地に搬入できない場合、別に駐車場を確保する必要や手作業に変更しなければならないため、費用が追加される可能性があります。

有害物質の有無の確認では、建材にアスベストが使用されていないのかを確認していきます。

アスベストは作業員だけでなく近隣住民の健康を害してしまう可能性があるため、解体作業では特別な処理が必要になります。

2006年以前に建築された建物ではアスベストが使用されている可能性があるので、その有無を確認して対策を講じていく必要があります。

アスベストが含有していると判断された場合、費用が高くなるケースがあります。

上記のようなことを、実際に現場で確認し最終的な見積もりを受け取ります。

解体業者と請負工事契約

見積り金額に納得したら、解体業者との請負工事契約を結びます。

基本的には、解体工事会社とは契約書を作成して契約を交わすようにしましょう。

契約書を交わさずに、口頭だけで契約とする会社もあります。

その場合、後々トラブルになった時に契約書がないために対抗できない場合もあるので注意が必要です。

些細な契約であっても書面で契約し、契約書の内容は細かい部分までチェックしたうえで署名捺印するようにしましょう。

【手順②】各種申請やライフライン停止などの手配

契約を終えたら、解体工事の着工に向けて準備を進めていきます。

解体工事を着工するためには、次のような準備が必要です。

  • リサイクル法などの届出
  • ライフラインの停止
  • 近隣住民へのあいさつ

リサイクル法などの届出

80㎡以上の解体工事するためには、リサイクル法により都道府県に解体計画などの届出が必要になります。

さらに、立地や解体工事によって次のような届け出も必要となるので、それぞれ申請が必要です。

  • 道路使用届出
  • 騒音・振動届出
  • 歩道専有届出

必要な申請は、基本的には解体工事会社が手続きをするので依頼主が手続きする必要はありません。

しかし、適宜手続きできているのかは確認しておく必要があるでしょう。

また、この時マニュフェストも提出される場合があるので確認しておく必要があります。

マニュフェストとは、解体工事で排出される産業廃棄物の処理の流れを確認するための書類です。

一般的には、産業廃棄物の処理が終わった工事完了後に依頼主に提出されますが、会社によっては作成時点で一度確認のため提出する場合もあります。

マニュフェストは産業廃棄物を排出する業者に対して作成が法律で義務付けられています。

マニュフェストの提出がない業者は、違法に産業廃棄物を処理している可能性があるので注意しましょう。

解体工事会社自身で産業廃棄物を処理できる会社であれば、マニュフェストを発行しない場合もあります。

その場合は産業廃棄物収集運搬許可などの資格を保有しているかを確認しましょう。

ライフラインの停止

解体工事にともなり、次のようなライフラインの停止手続きが必要です。

  • 電気
  • ガス
  • 電話
  • インターネットやケーブルテレビ
  • セキュリティサービス

これらの停止手続きは、依頼主が行わなければなりません。

停止まで1週間ほど掛かるものなので、早めに停止手続きをしておきましょう。

また、これらの停止手続きは、停止するだけでなく配線や設備などの撤去まで必要になります。

それぞれの契約会社に「解体工事に伴う停止」である旨を伝え配線などまで撤去してもらうようにしましょう。

ただし、水道に関しては解体作業で必要になるので停止してはいけません。水道だけは停止せず、それまでの水道料金の精算のみをしておきましょう。

ライフラインが停止できていないと、解体工事を安全に進められずに事故につながる恐れもあります。

また、解体工事自体ができずに日程の遅れが出てしまい、追加費用が発生する可能性もあります。

ライフラインの停止は依頼主の責任で、工事着工までに必ず終えるように進めておく必要があります。

解体工事会社から、いつまでにどのライフラインをという指示があるのが一般的ですが、スケジュールとともに確認するとよいでしょう。

近隣住民へのあいさつ

解体工事では、近隣住民へさまざまな迷惑をかけるもののため、着工前には近隣へあいさつすることが一般的です。

解体業者と依頼主で一緒にあいさつするのが望ましいので、解体工事会社に確認してあいさつするようにしましょう。

【手順③】工事着工に向けた事前準備

解体工事に着工するためには、さまざまな準備も必要です。

事前準備としては、次のようなものがあります。

敷地内搬入のための外構の解体

解体工事で必要な重機やトラックなどを敷地に搬入するために、まずは外構の解体が必要になるケースがあります。庭の植栽やブロック塀・カーポートなどを解体していきます。

足場と養生の設置

解体作業では、騒音や粉塵などが発生するものです。

それらを軽減するために、解体現場を囲う養生を設置します。また、解体作業するための足場も同時に設置していきます。

解体の規模や内容によっては防音パネルなどを設置する場合もあるでしょう。

【手順④】解体工事の着工

準備が整ったらいよいよ解体工事に着工です。

解体工事と言っても、いきなり重機で建物を取り壊すわけではありません。

解体工事では、次のような手順で解体を進めていきます。

  • 屋根や内装の解体
  • 建物本体の解体
  • 建物基礎の解体

屋根や内装の解体

まずは、屋根や内装など手作業での解体からスタートします。

断熱材や建具・畳・サッシ・瓦など、屋根と建物内部にある手作業で解体できるものはこの段階ですべて解体していくのです。

解体作業に伴う廃棄物は、建設リサイクル法により分別が義務付けられています。

そのため、手作業で解体しながら分別しなくてはなりません。

手作業での分別・解体をしない業者は違法な解体工事である可能性が高いので注意しましょう。

建物本体の解体

解体工事というと、重機で建物を取り壊すイメージがあるものです。

そのイメージにあたるのが、建物本体の解体作業になります。

この作業では、重機を使用して建物の壁や梁・柱と言った主要構築物を取り壊していきます。

取り壊し作業では、粉塵が舞いやすいため散水しながら解体を進めるのが一般的です。

この作業時が近隣住民へ大きな迷惑になる可能性が高くなります。

依頼主は、本体の解体作業時に一度現場を確認しておくとよいでしょう。

近隣への迷惑の度合いを確認することで、万が一近隣からクレームなどが入った場合も対処しやすくなります。

建物基礎の解体

本体を解体したら、次は基礎部分の解体です。

近年は、コンクリートと鉄筋で基礎を作っている建物が多いため、解体に伴う振動や騒音は大きくなる傾向にあります。

こちらも現場を確認して、近隣への迷惑の度合いを確認しておくとよいでしょう。

また、基礎の解体工事中に井戸や浄化槽、コンクリートがらなど、地中埋設物が見つかる可能性があります。

地中埋設物は、地中を掘り起こしてみなければ分からないため、埋設物が出た場合は追加費用での対処になります。

解体工事会社から地中埋設物の処理について確認があるので、対応するようにしましょう。

地中埋設物は、放置していると次の土地活用に影響が出る可能性があります。

土地として売却する場合は、次の買主から埋設物の撤去費用を請求される場合や、建物を建てるにしても埋設物があると地盤の強度に問題が出る可能性があるのです。

地中埋設物は、この段階ですべて撤去しておくことで、後々のトラブルなどを避けられるでしょう。

【手順⑤】整地~完工

重機による解体作業が終われば、次は整地作業となります。

整地~完工

掘り起こした地面をきれいに整地して、解体工事は完了となります。

工事完了後は、排出した産業廃棄物の処理や道路などの清掃も行われます。

引き渡し

解体工事をすべて終えたら依頼主立ち合いで、解体後の状況を確認します。

この時、契約内容と相違がないかしっかり確認するようにしましょう。

解体工事が問題なく行われていたら、引き渡しになります。

また、解体工事後には近隣住民へのお礼のあいさつをするようにしましょう。

この時、場合によってはクレームを入れられトラブルになる可能性もあります。

早い段階であいさつしておくと、クレームに対して解体業者が対応してくれるものです。

解体工事後、時間が開いてからのトラブルでは、解体工事会社に対応してもらえない可能性があるので早めにあいさつしておく必要があります。

建物滅失登記

解体工事が終わり、引き渡してもらって完了ではありません。

解体工事後には、建物滅失登記が必要になるので忘れずに手続きするようにしましょう。

建物滅失登記とは、登記簿に登録している建物が無くなったことを登記する手続きのことを言います。

解体工事日から1か月以内のこの登記の変更が必要です。法務局で必要な書類を手に入れて、申請することで登記ができます。

自分での手続きが不安な場合は、土地家屋調査士などに依頼して登記してもらうことも可能です。

その場合は、費用として3~4万円ほどかかるので注意しましょう。

解体工事会社によっては、登記手続きをサポートしてくれる場合もあるので、一度相談しておくと自分でも手続きできるようになります。

建物を解体した場合に注意したいのが固定資産税と都市計画税です。

不動産の所有者に課せられる固定資産税と都市計画税は、土地だけの状態では建物が建っている状態よりも高額になる場合があります。

解体後土地だけで所有し続けると税金の負担が大きくなるので、早い段階で土地活用を検討するとよいでしょう。

まとめ

解体工事の手順と注意点について解説しました。

解体工事と言っても、いきなり重機で建物を取り壊すわけではなく、それまでにさまざまな準備が必要で、解体工事には日数もかかるものです。

解体工事の大まかな流れや必要な日数を把握したうえで、解体工事の計画を立てて早めに動くことが重要です。この記事を参考に、解体工事の流れを理解し、スムーズに解体できるようにしましょう。

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