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「そろそろ家を解体しなくてはいけなくなったけど、解体工事は予想外の出費で、そんなにお金もかけられない…」空き家や建て替えで解体工事を検討されている方なら一度は考えることではないでしょうか。
実は解体工事には補助金があり、条件を満たせば助成を受けられる可能性があります。今まで知らなかったという方も多く、徐々に注目が集まっています。
ここでは解体工事の補助金について、補助額や申請方法を中心にわかりやすく解説します。
1. 解体工事の補助金とは?
1. 補助金の目的
解体工事に関する補助金は、どのような目的で設けられているのでしょうか。
主に空き家を対象にした補助金が多く、これらの補助金は放置された建物による以下の問題を防ぐために導入されています。
- 街の景観を守り、美しい環境を維持するため
- 災害時に破損や倒壊による二次被害を防ぐため
- 不法投棄や放火など、犯罪の温床になることを防ぐため
- 不要な建物を解体し、新しい建物の建設を促進することで地域の活性化を図るため
特に空き家問題は近年深刻な社会的課題となっており、この問題を解決するための取り組みの一環として、補助金制度が活用されています。
なお、補助金制度はすべての自治体で実施されているわけではありません。補助金を利用したい場合は、まずお住まいの自治体に制度があるかどうかを確認し、申請条件や適用範囲が自治体によって異なるため、詳細については自治体の窓口で確認しましょう。
2. 補助金の種類と金額例
解体工事に関する補助金には、どのような種類と金額があるのでしょうか。代表的な補助金の種類と金額をいくつか紹介します。
老朽危険空き家解体補助金
老朽化した空き家が倒壊の危険を抱えている場合、その解体費用が補助されます。補助金を受けるためには、事前に自治体が定める要件を満たしていることが必要です。まずは自治体に調査を依頼し、その結果要件を満たすと判断された場合に申請が可能となります。補助金額は解体費用の20~50%程度が支給されるのが一般的です。
木造住宅解体工事補助金
耐震基準を満たしていない木造住宅の解体費用が支給される補助金です。地震による倒壊被害を防ぐために、木造住宅の耐震診断を受け、その結果、耐震性が低いと判断された場合に補助金を申請できます。自治体によっては、解体前に診断を受けておく必要がある場合もあるので、早めに診断を受けることをお勧めします。
ブロック塀等撤去費補助金
地震時にブロック塀などが倒壊して被害を引き起こさないよう、一定以上の高さがあるブロック塀の解体費用が補助されます。一般的に高さ1メートル以上が条件となり、補助金額は解体費用の20~50%程度です。
建て替え費補助金
耐震基準を満たしていない戸建て住宅を解体し、一定の基準を満たす新しい住宅を建設する場合、解体費用や建築費用の一部が補助されます。自治体ごとに条件が異なるため、事前に確認し、要綱に従って申請することが重要です。
固定資産税の減免措置制度
特定の条件を満たす空き家を解体した場合、解体後の土地に対して固定資産税が軽減または免除される制度です。これにより、土地の税負担が軽減され、所有者の負担を減らすことができます。
アスベスト除去費・調査分析費
建物に含まれるアスベストを安全に除去するための費用(アスベスト除去費)は、通常その費用の50~60%が補助されます。また、アスベストが含まれているかを確認するための調査分析費用にも補助金が提供され、アスベスト解体にかかる負担を軽減することができます。
3. 補助金が給付されるまでの流れ
- 補助金の申請
- 自治体による審査
- 解体工事の着工
- 工事完了後の報告書提出
- 補助金交付
という一連の流れがあり、実際に補助金を受け取るまでにはかなりの期間がかかることがわかります。
1. 補助金の申請
解体工事を始める前に、補助金の申請を行う必要があります。また、補助金には年度ごとの申請期間があり、予算に達すると受付が締め切られる場合があります。そのため、できるだけ早めに確認し、手続きを進めることが大切です。
2. 自治体による審査
補助金の申請後、自治体による審査が行われます。審査結果が出るまでに数週間から1か月程度かかることがあり、場合によってはさらに長引くこともあります。スケジュールに余裕をもって手続きを進めましょう。
3. 解体工事の着工
審査に通過した後、解体工事を進めることができます。自治体によっては、特定の登録業者を使用することが条件となっている場合もあるため、事前に確認しておきましょう。
また、工事の際には一定期間内に書類の提出や届出が必要です。これらの手続きについては、工事会社がサポートしてくれる場合もあるため、信頼できる業者を選ぶことが重要です。
4. 工事完了後の報告書提出
解体工事が完了した後、自治体への完了報告が必要です。報告時には、解体工事が終わったことを証明する書類が求められることがあります。具体的には、取り壊し証明書や領収書などが必要になる場合が多いですが、自治体によって必要書類が異なるため、事前に確認しておくことが重要です。
5. 補助金交付
補助金の交付は、自治体が報告書の内容を確認した後に行われ、実際に補助金が支給されるまでには数週間かかることがあります。また、補助金は工事完了後に支給されるため、解体費用を一時的に自己負担する必要があります。そのため、資金計画をしっかり立てておくことが大切です。
2. 補助金を利用する際の注意点
補助金の種類と条件は自治体ごとに異なる
補助金の種類や適用条件は、空き家が所在する自治体によって異なります。一部の自治体では、複数の補助金を提供している場合もあります。疑問点がある場合は、自治体の窓口や代表電話に問い合わせて確認することをおすすめします。
また、補助金の条件として、市内または町内に本店を置く工事会社に解体工事を依頼する必要がある場合もあります。申請を進める際は、必ず補助金の要綱を最後まで読み、条件を十分に理解した上で手続きを行いましょう。
補助金の申請が認められてから工事に着工すること
補助金を利用する際、最も重要なルールの一つが「申請が認められてから工事に着工する」という点です。補助金の申請は工事の着工前に必ず済ませる必要があります。申請後は審査が行われ、通常2~3週間程度で結果が通知されます。この審査を通過した後でなければ工事に取り掛かることはできません。
補助金には審査期間があり、時間がかかる
補助金の申請には審査が必要で、交付までに通常2~3週間程度かかります。さらに、耐震診断が必要な場合、自治体によっては診断を前年度中に済ませておく必要があることもあります。診断そのものが数か月待ちになるケースもあるため、早めの行動が重要です。
年度ごとに決まった申請期間があり、予算や枠が限られている
補助金は、自治体ごとに年度ごとの予算や申請枠が設定されています。そのため、申請は指定された期間内に行う必要があります。予算が上限に達した場合、締め切り前であっても申請が打ち切られることがあるため、早めの行動が大切です。
補助金の交付は、解体工事後に支払われる
補助金は基本的に後払い方式で支給されます。そのため、解体工事を行う際は、最初に全額を自分で用意し、着手金や最終金として工事会社に支払う必要があります。補助金は解体工事が完了した後に交付されるため、事前に十分な資金計画を立てておくことが重要です。
3. どんな家が補助金の対象になる?
補助金は自治体ごとに用意されているため、解体したい物件がある自治体に補助金制度がなければ利用することはできません。まずはお住まいの自治体に補助金制度があるかを確認してみましょう。
以下に、補助金の対象になりやすい家の例を紹介します。
耐震基準を満たしていない家
1981年5月31日以前に建てられた建物は、旧耐震基準で設計されているため、耐震基準を満たしていないと診断される可能性があります。このような場合、補助金の対象条件に該当することが多いです。
ただし、増改築や耐震補強工事が実施されている建物は補助金の対象外となる場合もあります。
老朽化や腐朽が激しい家
建物が目に見えて老朽化している場合も、補助金の対象となる可能性があります。例えば、家が傾いている、瓦が崩れ落ちている、柱や壁が腐食しているといった状態が挙げられます。このような建物は地震や台風などの災害時に倒壊し、周囲に被害を及ぼすリスクが高いため、補助金の対象として優先されることがあります。
まとめ
今回は、解体工事で利用できる補助金について、申請方法や手続きの流れを詳しく解説しました。
解体工事を進める際は、まず自治体が提供している補助金制度の有無を確認しましょう。また、申請期間や条件を正確に把握することが重要です。これらを見落とすと、補助金が受けられなくなる場合もあるため、計画的な準備が求められます。
さらに、補助金申請には、工事会社が発行する見積書が必要となるケースが多いため、早めに工事会社に見積もりを依頼しておくとスムーズです。補助金を上手に活用し、解体工事をより負担の少ない形で進めましょう。